山の「厄介者」が漁業の町を救う? 磯焼け進み減る資源…放置林の竹で海の環境を改善、新たな特産づくりに挑む 阿久根
一方で「地元の山で自然に生えたものなら、安心して使える」という思いもある。以前、大企業から「魚礁を提供したい」と申し入れがあったが、中身は使い古して廃棄された鉄くずなどだと分かり、断った経緯がある。「海を汚すわけにはいかない」との気持ちも強い。 ■足元の資源 今回の竹は山あいの田代地区の竹やぶを伐採した。無償提供した中野秀明さん(72)は「周囲は高齢者が多く、土地を使う予定もない人がほとんど。林業者や漁業者の役に立つならうれしい」と話す。だが、竹は硬いので草刈り機でも切りにくい上に、草のつるが絡みついたものも多く、やぶから運び出すことも容易ではなかった。作業の負担軽減が課題として残る。 阿久根市の「たからのまちマネージャー」として林業部門の助言を行う長野麻子さん(52)=東京都=は「山の栄養が川から海に流れ込み、プランクトンを育てる。遠回りでも山や森を管理することが、海の環境改善につながる」と訴える。最近は足元の資源を見つめ直し、地域で活用する流れがあるとして、「現代のライフスタイルに合うよう工夫しながら進めてほしい」と話した。
南日本新聞 | 鹿児島