バイデン大統領を苦しめるインフレ、米経済の底堅さは悪いニュース
(ブルームバーグ): 米経済は底堅いが、それはバイデン大統領にとっては悪いニュースだ。
25日に発表された1-3月(第1四半期)の実質国内総生産(GDP)速報値について、ほとんどのエコノミストは弱い成長率を重視せず、米経済の基本的な勢いは依然として強いと指摘した。しかし、1年余りにわたって驚くほど堅調だった経済成長と雇用は、バイデン大統領再選への希望にほとんど具体的な利益をもたらしていない。
米GDP1-3月に急減速、インフレは加速-軟着陸期待に水差す
成長と雇用が生み出したものはインフレであり、それがバイデン氏を苦しめている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、スチュアート・ポール氏は「大統領にとって、どうやっても不利な状況だ。高成長が高インフレと高金利の犠牲の上に成り立っているため、その恩恵は受けない。経済の底堅さはバイデン大統領にとって問題だ」と述べた。
ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトが今月、激戦州7州の有権者を対象に実施した月次世論調査によると、有権者の過半数が向こう数カ月に経済状況は悪化するとの見方を示した。少なくとも半数の有権者は、インフレ率と借り入れコストが今よりさらに上昇すると予想した。
激戦7州でバイデン氏支持が後退、トランプ氏にリードは1州のみ
その結果、バイデン陣営は「バイデノミクス」という経済政策を宣伝するのをほぼやめ、人工妊娠中絶の権利や民主主義の保護といった争点を強調している。
インフレ再燃
ほんの3カ月前まで、景色は違っていた。積極的な利上げでインフレにようやく歯止めがかかったかに見えた。米金融当局が物価の基準としている個人消費支出(PCE)価格指数の前年同月比の伸びは2022年6月に7%超でピークを記録した後、今年1月には2.5%まで減速した。
驚くべきことに、インフレ率の低下は成長率や雇用にダメージを与えることなくもたらされた。2023年のGDPは2.5%増と全ての予想を上回り、失業率は意外にも4%を下回り続けている。