西村経産相が三菱マテリアル・小名浜製錬所を視察。レアメタルのリサイクルに期待示す
西村康稔経済産業相は10日、三菱マテリアルの小名浜製錬所(福島県)を訪問し、Eスクラップの処理設備など金属リサイクルの現場を視察した。西村氏は「重要鉱物は特定国に依存しないサプライチェーンの構築が喫緊の課題」と述べ、リサイクルを通じたレアメタルのサプライチェーン強靭化への貢献に期待を示した。経産省が「重要鉱物の供給確保計画」の第一号案件として認定した同製錬所でのリチウムイオン電池リサイクルのパイロットプラント建設にもふれ、「レアメタルを使用済み蓄電池から回収し、再利用する技術開発に期待する」と述べた。 西村氏は製錬所に到着後、三菱マテリアルの小野直樹社長、伊左治勝義常務、小名浜製錬の山田高寛社長らから小名浜製錬所の概要や資源循環における非鉄製錬の役割などについて説明を受け、日本企業のリサイクルの取り組みについて意見交換した。その後、鉱石やリサイクル原料を溶解するS炉、10月に試運転を開始した第三リサイクルヤードのEスクラップ破砕選別設備、28年度稼働予定のEスクラップ前処理炉の建設予定地を見学した。 同社は、中期経営戦略(23~30年度)の主要施策の一つに資源循環の拡大を掲げ、廃電子基板などEスクラップの処理能力を30年度までに24万トンまで増強する計画を打ち出している。この一環で小名浜製錬所では総工費約200億円を投じて前処理設備の建設を進める。また、使用済みリチウムイオン電池から得られるブラックマスからリチウム、コバルト、ニッケルを回収・精製するリサイクルの事業化に向けて、パイロットプラントの建設も決めている。