不人気な中古外車BMW!!【磨きとペイントでどこまで仕上がる?】Vol.5
分解して驚きました!! 要ペイント部品の数多さ!!
外装パーツの中でも、インナーフェンダーや各種インナーカバーなどなどは、黒色の半ツヤ仕上げでお願いした。純正部品も半ツヤ黒だが、スクラッチキズが多く決して美しくなかったので、塗り直すことにした。ペイント依頼の時系列的には、グラフィックの相談→黒部品の先行仕上げ→黒部品の車体取り付け→デザイングラフィック外装パーツの仕上げ、の順で進めることになった。半ツヤ黒は、黒塗料にフラットベースを混ぜて艶加減を調整する。驚くほど数多くの外装パーツで構成されているのがKシリーズ。そもそも黒外装だったので、取り外したパーツはすべて真っ黒!! グラフィックが決まったところで、ガレージに車両を持ち帰り、外装パーツをすべて取り外し、再度、ドリーム商會へと持ち込んだ。「M」ラインの外装は、パールホワイトを地色にする往年のデザインを踏襲。「半ツヤ黒のインナーパーツとのコントラストが冴えて、良くなりそうですね!!」とはドリーム商會の小島代表。インナーパーツはすべて樹脂製なので、ペイント前の密着剤が重要になるそうだ。
メーカー純正「アルミ製ガソリンタンク」を標準装備!!
ソリッド黒のガソリンタンクには、ペイント補修痕があったので「塗膜の下にはパテがたっぷり入っている!?」と、少々心配だった。鈑金作業時のお話しを伺うと「下地に凹みはほとんど無く、大きくパテ埋めしなくてはいけない箇所もありませんでした」と、ひと安心。バイクの購入時には、タンク内部のサビ具合を確認したが、その際に「アルミタンク」が純正仕様だと知った。おそらくKシリーズは、75も100も、アルミタンクは共通部品のような気がする。前期と後期で、燃料ポンプや燃料フィルターのデザイン仕様が異なっている様子だ。 取材協力/ドリーム商會 ────────── POINT バイクを美しく仕上げるポイント・外装部品のリフレッシュだけでも間違いなく美しく見えるようになるのがバイクだが、今回は、車両購入の段階で、ペイント&磨き込みだけで仕上げられるかも……? と考えた。黒ペイント仕上げの部品が数多くて驚いたが、これらはすべて半ツヤ黒仕上げで仕上げることで、見た目もバランスすると思う。 ────────── バイクの印象は、カラーリングひとつで様変わりするものだと思う。1960年代以前と言えば、ブラックとシルバーが当たり前で、1960年代後半になると、メタリックカラーやカラークリアを塗り重ねることによって色合いを決める「キャンディカラー」を採用したモデルが数多く登場した。ライダーの好みに合わせて、1モデルあたり数色のカラーリングを用意するのが当たり前の時代でもあった。しかし、BMWと言えば、数種類のカラーリングがあっても、ほぼすべてが地味な印象で、おとなしいと言うか、ジェントルな雰囲気を醸し出すモデルが数多い印象だった。このK75Sを初めて見た時にも「地味~!!」としか言葉は出なかった。ガレージへ来たバイク仲間からお話を伺っても、やっぱり同じ印象しか出て来なかった……。 ぼくら世代にとってBMWと言えば、あのトリコロール・グラフィックの3本ラインを思い浮かべる者が数多いと思う。1972年に登場した、四輪BMWのスポーツシリーズは「M」シリーズと呼ばれ、パールホワイトの地色に青と赤とその重ね合わせのトリコロール・グラフィックが象徴的だった。ぼくもそのカラーリングが大好きなので、このK75Sは「Mライン」で仕上げようと考えた。 埼玉県寄居町のドリーム商會さんへK75Sを持ち込み「こんなイメージのカラーリングで仕上げたいのですが……」とマスキングテープで施した「Mライン」をご覧頂いた。そんなグラフィックをご相談すると「いい感じにバランスしていますね、このイメージで、いくつかのパターンを考えましょう。その中から好みのデザインを選んでいただくのが良いのでは……?」とのお話しを頂いた。ぼくが決めたデザインに、こだわる理由など特に無いので、新たな提案を頂けるのが楽しみ!! 方向性として崩すことなく、トリコロールラインの太さで、イメージに強弱をつける方向で追加デザインのご提案を頂いた。ぼくが施したグラフィックは左側面で、ドリーム商會さんでは右側面にラインを入れて下さり、比較しながら作業を進めていった。 また、フロントフェンダーのリヤ側をやや切り上げて「軽快感を増す」演出もお願いした。スポーティさを少しだけ協調するのに、フロントフェンダーが被さる面積が多いような気がしたからだ。また、トリコロールのグラフィックを決めながら、用意した新品エンブレムを仮にレイアウトしてみた。具体的なイメージングに、エンブレムは欠かせませんからね。その後、おおよそのグラフィックを決定後に、ガレージにバイクを持ち帰り、すべての外装パーツを取り外した。 驚いたのが、各種外装部品の固定方法だった。何故なら、いわゆる一般的なボルト締め付けではなく、外装パーツ同士の固定部には「木ネジ」が多用されていたのだ。メインフレームに直接取り付ける外装部品は、国産車と同じようにボルト固定式かつラバーダンパーなども組み込まれていたが、樹脂部品同士やカウル同士の固定には、そのほとんどの箇所で「木ネジ」が利用されていたのだ。国産車いじりばかりやっていると、まさにカルチャーショックです!! 国産車の場合は、配線ハーネスをサポートする金具の締め付け固定などで木ネジが利用されるケースもありますが……この大胆さには驚きでました。ちなみに、過去に何台も所有してきた2000年以前のドゥカティでも、やはり木ネジの利用は経験したことがありません。
たぐちかつみ