「丸川」「下村」そして「萩生田」各氏の運命は…話題の“自民党調査”でわかった東京「落選可能性候補」の実名
明暗を分けたベテラン
東京選挙区には、大臣経験者でありながら、裏金問題で公認をもらえず、無所属で立候補をするベテラン候補者が2人いる。文科大臣や五輪担当大臣、党政調会長を歴任した下村博文候補、そして復興大臣を務めた平沢勝栄候補である。二人の情勢調査は明暗を分けている。 まずは東京11区(板橋区の一部)の下村候補。支持率は20.3%。対する立憲民主党の阿久津幸彦候補は26.8%。リードを許し、ランクは「C」となっている。これまで下村候補は旧東京11区で9回連続勝利してきた。しかし、今回は裏金問題で1年間の党員資格停止の処分を受けた。不記載額は476万円で、公認候補から外された。そのイメージが大きなマイナスとなっている。 一方の東京17区(葛飾区)の平沢候補。彼は1817万円の不記載があり、1年間の党役職停止の処分を受けた。しかも政倫審に出席をしなかったことから、非公認に。それでも現在の支持率は31.3%。次点につける国民民主党の円より子候補は15.0%だから、ダブルスコアの差をつけている。当然、ランクは「A」だ。 「平沢さんは旧東京17区で9回連続当選。この20年ほどは得票率が5割を超えることがほとんどで、大抵がダブル、時にはトリプルスコアをつけるほどの強さを見せてきました。日頃から地元のお祭りや冠婚葬祭にはこまめに顔を出す、“どぶ板”ぶりで有名。従来の選挙よりは厳しいものの、この逆風下でも優位は揺らがないといったところでしょうか。さすがの数字です」
カギは公明党
八王子市の一部で構成される東京24区。ここで出馬するのが、萩生田光一候補。文科大臣、経済産業大臣、党の政調会長を歴任。裏金の額は2728万円で1年間の党役職停止の処分を受けた。やはり政倫審にも出席しなかったことから公認を貰えず、無所属での出馬となる。 その萩生田氏、支持率は39.2%。対する立憲民主党の有田芳生候補の29.8%をリードしている。前回の調査では、それぞれ29.9%、33.7%だった。つまり、公示を挟んだ1週間で、逆転し、差を開けているのだ。ランクは「B+」。 「萩生田さんは2009年の選挙で落選し、比例復活できなかったこともある。決して選挙に強いわけではありません。しかも今回は裏金に加え、旧統一教会との深い繋がりがあるイメージも消えていません。ただ、ライバルとなる有田候補はまったく地縁のない落下傘候補ですし、維新、国民民主党も候補者を立てるなど、野党が乱立。その点が有利に働いているところもある。ポイントは、公明党がどこまで本気で萩生田さんをやってくれるかどうかです。今選挙で公明党は、東京28区でも候補者を立てることを希望していましたが、都連会長の萩生田さんが強引に候補者を擁立してしまったために、泣く泣く断念した“遺恨”がある。公明党の石井啓一幹事長(当時)が“自公の信頼は地に落ちた”と述べたほどです。公明党との関係を修復できるか否かがカギを握るでしょう」 この30選挙区の調査を総合すると、自民党は無所属の平沢、萩生田氏を含めて、他候補をリードしているのは17選挙区となる。一方で、前回の総選挙で自民党は、25選挙区中16選挙区で勝利した。勝率は前回が64%となるのに対し、今調査では約57%へと低下する。 「もちろんこれはあくまで参考数値のひとつ。他のメディアの調査では、自民党にもっと高い数値が出ているところもあります。また、厳しいとされる選挙区には自民党も党を挙げて巻き返しを図ってくるでしょうから、結果は未知数です。しかし、自民党に厳しい結果という全体のトレンドは変わりようがないと見られます。自民党が単独過半数を維持できるかが焦点です」 デイリー新潮編集部
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