山田裕貴、『Ultraman: Rising』サトウ・ケン役は「運命めいたものを感じる」 野球選手とウルトラマンの夢実現
Netflix、円谷プロダクション、インダストリアル・ライト&マジック (ILM) が共同製作するCGアニメーション長編映画『Ultraman: Rising』が6月14日から世界配信される。主人公のサトウ・ケン役の日本語吹替版の声優を務めるのは、俳優の山田裕貴(33)。ORICON NEWSでは、山田にインタビューを実施。本作に込めた熱い思いを聞いた。 【写真】スペシウム光線のポーズも様になる山田裕貴 ヒーローやりすぎて「あとは何と戦えば」 ■子どものころに見た野球選手とスーパーヒーローの2つの夢が実現「すごくうれしい」 Netflix映画『Ultraman: Rising』は、「親子」「家族」をテーマにしたストーリーで、野球界のスター選手、サトウ・ケンのもう1つの姿、それは地球を守るスーパーヒーロー「ウルトラマン」だった。その役割を担うべく、ケンは帰国して日本球界の一員として、試合に臨む。しかし、突如出現した強大な怪獣ジャイガントロンによって平和な日常は破られるのだった。 ケンはウルトラマンとなって戦いに挑むが、迫りくる怪獣の攻撃は激化する。そんな中、ケンは、「宿敵」の子である“赤ちゃん怪獣”の世話を任されるという、思いもよらない事態に陥る。そして、エミと名付けられた“赤ちゃん怪獣”の新米パパとして奮闘しながら、疎遠になっていた父親との関係や「ウルトラマン」であることの本当の意味と向き合うことになるのだった…。 ――サトウ・ケン役のオファーを振り返ってみて。 【山田】役の中ではありますが、子供のころ、本当に僕がなりたかった野球選手、幼稚園のころ卒園文集に書いていた「スーパーヒーローになりたい」という夢が2つともかなったので、すごくうれしかったです。知らない方もいるかもしれませんが、僕の父は元々プロ野球選手(中日ドラゴンズ等で活躍した山田和利氏)で、父があまり家にいないこともあったので、会話をする機会も少なく、寂しいと思っていても「寂しい」とうまく伝えられない経験もありました。また、僕はスーパースターではないけれど、表に立つ仕事をしているので、サトウ・ケンの思いを理解できる部分もありました。自分の立場に対する葛藤など、こんなにもいろいろな面での共感がパズルのようにハマっていくことは、なかなかないので、すごく運命めいたものを感じました。 ――サトウ・ケンとの共通する部分はどこでしょうか? 【山田】父との距離感ですかね。そこは僕と父にしか、わからないかもしれませんが、プロ野球選手である父に憧れて野球を始めたんです。でも、僕は途中で辞めてしまいました。野球をやっていた時も、プロ野球選手の人に僕なんかが何かを聞いても、そのレベルに追いついてないから意味がないんだろうなと思って、聞くことすらできなかったりしました。別に仲が悪いわけではなく、勝手に僕自身が閉じこもって、言えずにいたんです。そういった距離感は共通するかもしれないですね。父に対する感覚とか、(ケンとの交流を深めるシングルマザーのジャーナリストに)アミに言われる「賞賛とかお金を稼ぐことよりも関心が欲しかったんじゃないの?」というせりふにはものすごく刺さるものがありました。「僕は関心を持ってほしいから、俳優を目指したのかな?」とか、「父には言えないけれど僕のこと見てもらいたいから、認めてほしいから、この仕事につながっているのかな?」、「サトウ・ケンも頑張ってプロ野球選手という人の目が集まるお仕事を選んだのかな?」とか思いました。でも、プロ野球選手はなろうと思ってなれるものではなく、彼自身の努力があったからだと思うんです。そういった1つ1つが重なったことが多かったので、キャラクターが似てるというよりも、内面で感じていることがものすごくたくさん似ているなと感じました。 ――演じてみて、やりやすい部分は大きかったんですか? 【山田】やりやすさとはまた別でした。彼の気持ちがすごくよく理解できるっていう感覚です。 ――声を当ててみて、サトウ・ケンのこういう心情はやりやすいなと思った部分はどこでしょうか? 【山田】気持ちが理解できないことはなかったです。ただ、日本語吹替版なので、今まで経験させていただいた声のお仕事と全く異なりました。事前に家で練習できるように映像をいただいたのですが、海外の俳優さんの声が入っている状態で。日本語の台本と照らし合わせながら映像を見ていったのですが、どこのせりふを言っているんだろう?みたいなことになってしまって、これは大変だぞと思いましたね。ドラマの撮影もしている最中だったので、他の台本も覚えつつ、映像との格闘でした。海外の俳優さんが演じられたそのサトウ・ケンをベースに、どんなテンションでしゃべっているのかを考えたり、友だちの木村昴くんに「どういうふうにやればいいの?」と教えてもらったりしました。「秒数を1個1個書くんだよ。息はどこから吸ってるの?吐いてるの?そういうところも見るんだよ。それだけで音が違うから」とアドバイスをもらったので、「息が出る勢いの声」を自分で書き足したり、秒数も全部台本に書き込む作業を行いました。プロの声優さんはものすごく大変な作業を行っているんだなと実感しました。 ――木村昴さんのアドバイスは、とても実践的ですね! 【山田】でも、彼の手柄にするわけにはいかない(笑)。僕の頑張りです(笑)。