若かりし頃の萬田久子が出演、江戸川乱歩の美女シリーズ「禁断の実の美女」(『人間椅子』より)を全国無料放送 見どころに迫る
1977年~1994年にかけて「土曜ワイド劇場」(テレビ朝日系)で放送された「江戸川乱歩の美女シリーズ」。天知茂さん演じる名探偵・明智小五郎のキレのある推理と、毎回ゲスト出演する妖艶な美女のお色気シーンなどが見どころで、江戸川乱歩シリーズの中でも“大人向けの作品”となっている。BS松竹東急(全国無料放送・BS260ch)では、9月1日(日)昼3時より、江戸川乱歩の美女シリーズ第22作「禁断の実の美女」を放送する。今回は、本作のあらすじや見どころについて紹介していく。 【写真】美しすぎる…「禁断の実の美女」に出演する若かりし頃の萬田久子 ■激しいカーチェイスや美女たちの入浴シーンなど、見どころ満載の「江戸川乱歩の美女シリーズ」 「江戸川乱歩の美女シリーズ」は、事件に遭遇した明智小五郎が巧みな推理を展開し、由美かおるや片平なぎさ、ジュディ・オングら往年の女優たちが演じる美女と関わりながら事件を解決していくという人気の推理ドラマだ。 同シリーズにはいくつか特徴的な要素がある。まずは明智が犯人を追跡していく際に激しいカーチェイスを繰り広げたり、ヘリコプターなどの大掛かりな装置を駆使しながら派手な演出を試みたりと、アクションシーンにも定評がある点で、通常の推理ドラマとは一線を画している。 また、明智が作中のさまざまな登場人物に変装をする点も必見。変装した明智が犯人を追い詰める際にそのマスクを剥ぎ、現場に衝撃が走る――というシーンが毎回登場し、物語のハイライトとなることもしばしば。 さらに、美女シリーズでは毎回登場する美女の妖艶な入浴シーンや男性を誘惑するシーンなどが加わり、見どころが満載だ。ちなみに、今回紹介する「禁断の実の美女」(『人間椅子』より)で美女役を演じたのは、かつてミス・ユニバース日本代表に選出され、現在も女優として活躍し続ける萬田久子。作中でも圧倒的な美しさと存在感を放っており、犯人の身勝手な動機に翻弄される女性を、美しくも儚く演じている。 ■美人作家に異常な執着を見せる不気味な男…「禁断の実の美女」あらすじ 明智小五郎(天知茂さん)が飛行機で偶然隣り合わせになった女性・北見佳子(萬田久子)。有名な女流作家である佳子は帰宅すると、体を休めるために佳子専用の椅子に腰かけた。しかし、なんと椅子の中にはじっと佳子を見つめる男の存在が…。男は佳子が椅子に座ると満足げな表情になり、“これが俺の恋だ…悪魔の恋だ”と呟く。 そんな折、佳子が宝石商の高杉という男の息子との婚約が決まった。椅子の男はショックのあまり部屋の鏡を割るなどして荒れ狂う。その後、高杉と食事をしていた佳子のもとに、以前彼女の編集を担当していた者から、“結婚を辞めろ”という旨のメモが届けられる。さらに帰りのエレベーターでは前夫が乗り込んできて“披露宴をぶち壊されたくなければ金を用意しろ”と脅してくるなど、佳子に多数の災難が降り注ぐ。 そして突如、披露宴会場となるホテルの女子トイレで、佳子は何者かに首に縄を巻かれて昏睡状態になってしまう。明智は以前の編集担当や前夫を容疑者とにらんで捜査を続けるが、決定的な証拠がなく、なかなか進展せずにいた…。 その後、入院していた佳子が退院すると、自宅に高杉と小説家志望の妹・裕子が見舞いに訪れた。裕子が例の椅子に興味を持つと、佳子は「日本インテリアの黒川純一という職人に特別に作ってもらったものだ」と話す。 裕子は小説家志望ということもあり、佳子の自宅に住み込みで仕事の手伝いをすることになった。そんな中佳子が仕事から帰宅すると、そこには亡くなった裕子の姿が…。裕子が座っていた椅子に針が突き刺さっているのを見つけた明智は、さらに椅子の中に佳子の結婚発表記事を見つける。“椅子になにか秘密がある”と踏んだ明智は、日本インテリアの捜査から進めていく。 すると、黒川は佳子のファンで、現在は行方不明になっているという事実を知る。それに加え、新たな被害者も生まれてしまい…。その後、物語は婚約者の高杉や職人の黒川なども巻き込みながら、衝撃の事実にたどり着く――。 ■萬田久子演じる佳子の“高嶺の花”ぶりに注目 江戸川乱歩の短編小説『人間椅子』が原作となる本作。その衝撃的すぎるテーマが話題になり、本作以外にもこれまで何度も映画化や舞台化されてきた。しかし本作では、変態的な思考にフォーカスした描写とともに、明智の推理や萬田の美しさが色濃く表現されている。とはいえ、人間椅子に潜む男性が、萬田が腰かけると恍惚な表情を浮かべてあれこれ妄想を駆け巡らせるシーンには、何とも言えない格段の気味の悪さを覚える。 また本作では、萬田の名演による佳子の“高嶺の花”ぶりにも注目したい。同シリーズにおいて、明智は美女から好意を寄せられアプローチをされることが多い。しかし本作では、最初の飛行機のシーンでまず明智から佳子に声をかけその後、佳子の結婚を知りショックを受けるような描写もある。一方、佳子はそこまで明智に興味のない様子。明智にさえ“高嶺の花”の佳子は、まして椅子の男にとっては“雲の上のような存在”であり、その2人の間の落差が物語にさらなる深みを与えている。 美人作家をめぐる連続殺人事件の顛末はもちろん、哀しい真実が明かされた時に“怒りの感情”を宿す明智の様子まで、見どころたっぷり。最初から最後まで見逃せない。