<一球入魂・’22センバツ木更津総合>第2部 支える人々/下 大鍋で極上スープ 父母会 除雪や草刈りも /千葉
センバツ出場が決まった翌日の1月29日。部員が練習するグラウンドのスタンドでは二つの大きな鍋から白い湯気が立ち上っていた。寒さの厳しい1~2月の休日の練習では、部員の母親らが食材を持ち込み、昼食用に温かいスープを振る舞うことが恒例となっている。 この日は80人分のポトフが作られた。「がっつり食べて冷えた体を温めてほしい」と思いを込め、大根15本、白菜5個、タマネギ18個など5種類の野菜に加え、ウインナーとベーコンが大鍋に入れられた。 野菜はそれぞれの家で採れたものや、近所の農家から差し入れされたものが使われる。メニューはみそ汁やカレーうどん、水ギョーザなどで、同じものが続かないよう気が配られている。部員からは練習の合間に「おいしかったです。ありがとうございます」と笑顔で声を掛けられるという。 新型コロナウイルスの感染状況によって、保護者が選手たちにスープを提供できないこともあった。渡辺陸内野手(2年)の母博美さんは「入学してからずっとコロナの影響を受けてきた。甲子園に向けて、監督らと連携してサポートしていきたい」と話した。 父親らは練習環境を整備して部員を支えている。霜が降りる冬の時期はグラウンドに凍結防止剤をまいたり、雪が降れば除雪したりする。年2回のグラウンド周辺の草刈りも大切な役割だという。ホームランやファウルで場外に出たボールを見つけやすくするためだ。 大井太陽外野手(同)の父裕二さんは「親も甲子園出場を目指してきたので、出場が決まった時は本当にうれしかった。みんな甲子園で思いっきりプレーさせてあげたい」と話している。【長沼辰哉】