精神疾患で休職の教員、過去最多に 生徒指導や人間関係が負担
2023年度に精神疾患で休職した全国の公立小中高校、特別支援学校などの教員は、前年度比580人増の7119人で過去最多を更新した。文部科学省が20日に公表した「人事行政状況調査」で判明した。休職した要因を初めて調査項目に加えたところ、児童生徒の指導や職場の人間関係が心身の負担になっている状況が浮き彫りになった。 【グラフで見る】精神疾患で休職した教員数の推移 47都道府県と20政令市の教育委員会から聞き取った。増加は3年連続。全教員92万415人に占める休職者の割合も0・77%で過去最高だった。 休職の要因は、67教委のうち59都道府県・政令市教委が把握しているものを二つまで回答。生徒指導や授業を念頭に置いた「児童生徒への指導に関する業務」が26・5%で最も多く、「職場の対人関係」が23・6%、「校務分掌や調査対応など事務的業務」が13・2%と続いた。「長時間勤務」は0・8%だったが、文科省は「上位に入った要因によって長時間労働になっている状況もあると思う」と推測している。 休職発令時点における所属校での勤務年数を見ると、3年未満が全体の62・6%を占めた。異動後に新しい環境に慣れないまま一定の責任ある立場に就くことが影響しているとみられる。 休職者の性別は男性が2866人、女性が4253人だった。5年前の18年度と比較すると男性の1・2倍に対し、女性は1・5倍と増加幅が大きかった。家庭内で育児や介護の負担が集中し、教職との両立で悩んでいる可能性があるという。 文科省の担当者は、生徒指導や授業が要因のトップになったことについて、不登校や外国籍など多様な児童生徒が増加している状況を踏まえ「教員の増員や専門人材の配置、支援スタッフ拡充などが休職の未然防止のためにも急務だ」とした。また、数年単位で異動する教員の人事について「場合によっては慣れ親しんだ学校や地域で勤務を続ける選択肢もあってよいのではないか」としている。【斎藤文太郎】