感動呼ぶ「親子」の力強い物語で完結「室井慎次 生き続ける者」ほか3本 シネマプレビュー 新作映画評
公開中の作品から、映画担当の記者がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。 【場面シーン】映画「グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声」 ■「室井慎次 生き続ける者」 平成の大ヒットドラマ・映画「踊る大捜査線」シリーズの主要人物の一人、室井慎次(柳葉敏郎)。彼のその後を描いて10月に公開された「敗れざる者」の圧巻の続編。 室井は、シリーズ主人公の刑事、青島俊作(織田裕二)と交わした組織改革の約束を果たせず警察を辞し、秋田の山深い湖畔の一軒家で犯罪加害者家族の子らと静かに暮らす。ある日、自宅近くで遺棄遺体がみつかり、かつて逮捕した殺人犯、日向真奈美(小泉今日子)の娘、杏(福本莉子)が現れる。 前作は組織内の闘いに敗れた室井の失意を軸に、暴力、貧困、さらに猟奇的殺人事件…と、昨今の日本映画がしばしば取り上げる題材をいくつものみ込み緊張感あふれる「今の映画」として立ち上がった。 この後編は、前編とはまた違う「親子」の力強い物語へ収斂され驚くばかりだ。雪深い風景がフジテレビ系の名作ドラマ「北の国から」を想起させるが、耐えに耐える柳葉は田中邦衛、いや高倉健か。よくぞこれほどの人生を描いた。そして、心が震える数十秒のラストが待っている。 15日から全国公開。1時間57分。(健) ■「グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声」 米アカデミー賞作品賞、主演男優賞(ラッセル・クロウ)など5部門を受賞した「グラディエーター」(2000年)の続編。監督は前作に続き名匠リドリー・スコット。 ローマ帝国軍の侵攻により妻を殺され、自身も奴隷となったルシアス(ポール・メスカル)はローマへ連行され、グラディエーター(剣闘士)として円形闘技場での死闘に挑むことに。 戦いの場面は最新技術でよりスケールアップ。デンゼル・ワシントン演じる謎の奴隷商人や、残忍な双子の皇帝など個性的なキャラクターも登場し、物語の展開から目が離せない。そしてルシアスの出自も明らかに。15歳以上が対象。 15日から全国公開。2時間28分。(啓)