感動呼ぶ「親子」の力強い物語で完結「室井慎次 生き続ける者」ほか3本 シネマプレビュー 新作映画評
■「Back to Black エイミーのすべて」
アルバム「バック・トゥ・ブラック」を発表し、グラミー賞5部門を受賞して一躍世界的大スターになるも、27歳の若さで早世した英国のシンガー・ソングライター、エイミー・ワインハウス(1983~2011年)の生涯を、実話を基に描いた。
本能の赴くまま自身の実体験を歌詞に込め、ハスキーボイスで歌うスタイルが特徴的だ。エイミーを演じた英俳優、マリサ・アベラの演技が秀逸。典型的な〝ダメ男〟のブレイクに恋をして、その言動に一喜一憂したり、アルコール依存症に苦しんだりする姿をリアルに演じている。監督はサム・テイラー=ジョンソン。英・仏・米合作。
22日から全国順次公開。2時間3分。(啓)
■「アット・ザ・ベンチ」
売れっ子写真家で気鋭の監督、奥山由之による自主制作映画。河川敷に取り残された古いベンチをめぐる5つの短編からなる、優しさあふれるオムニバスで、当代の人気俳優らが丁々発止の芝居を繰り広げる。
出演は1話と5話が広瀬すずと仲野太賀。2話は岸井ゆきのと岡山天音と荒川良々。3話が今田美桜と森七菜で、4話が草彅剛と吉岡里帆と神木隆之介だ。演劇的ではなく、あくまで映像的に見せて実に面白い。
初共演の広瀬と仲野が特に印象深い。脚本をドラマ「silent」の生方美久が手掛け、幼なじみとのじれったい恋を巧みに演じる。夕日の中、カメラが背後からとらえる広瀬の横顔の美しさが忘れがたい。
15日から全国順次公開。1時間26分。(健)