ニューヨーク証券取引所、規制が明確になれば暗号資産取引を検討【Consensus 2024】
ニューヨーク証券取引所(NYSE)は、暗号資産(仮想通貨)取引の提供を検討するとリン・マーティン(Lynn Martin)社長は述べた。ただし、同社のそうした暗号資産への参入についての規制環境がより明確になることが前提だ。 テキサス州オースティンで現地時間29日に開催した「Consensus 2024」のパネルディスカッションで、同氏は「(米国に)明確な規制ガイダンスがあれば、検討する機会になるだろう」と語った。 1月に承認されたビットコイン(BTC)ETF(上場投資信託)が580億ドルの資産を集めていることは、規制された暗号資産商品に対する需要があることを示す「強いサイン」と同氏は続けた。 伝統的金融大手が暗号資産商品を提供するなど、伝統的金融市場とデジタル資産はますます絡み合いつつあるが、規制の明確さに欠けていることが依然として業界のイノベーションを遅らせる要因になっているとマーティン社長と暗号資産取引所Bullishのトム・ファーリー(Tom Farley)CEOはパネルディスカッションで語った(Bullishは米CoinDeskの親会社。ファーリー氏はNYSEの元社長)。 関連記事:ニューヨーク証券取引所、ビットコインオプション上場を計画──伝統的金融大手の暗号資産参入進む 「ETFに580億ドルほどが流入している事実は、市場が伝統的な構造での規制を求めている強いサイン」とマーティン社長。 「だから、願わくば、(SEC)が資金流入を見て、『これは非常に理にかなっている』と言ったであろうことを期待している。ビットコインETFは大成功を収めているのだから」 NYSEのライバル、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は、暗号資産先物取引の大手であり、現物取引を開始する予定と今月初め、フィナンシャル・タイムズが報じている。 関連記事:CMEがビットコインのスポット取引の提供を計画:報道 ファーリーCEOは、アンチ暗号資産だった連邦預金保険公社(FDIC)の委員長の更迭、下院でのFIT21の可決、トランプ氏が暗号資産支持の姿勢を強めるなど、アメリカの政治状況における暗号資産に対する突然の心変わりを強調した。 「5年間の進化が5分で起きた」とファーリーCEO。 「私は、この国で暗号資産が何を意味するかについて楽観的。ヨーロッパや香港のように、規制当局が『合理的なデジタル資産業界とはどのようなものか』を成文化することになると考えている」 「トランプ氏やバイデン氏、ミシェル・オバマ氏が大統領になるかどうかに関係なく、2024年と2025年には進展が見られるだろう」 マーティン社長は、特に地方債のような流動性の低い資産において、ブロックチェーン技術を利用して金融プロセスをより効率的で透明性の高いものにすることに引き続き、楽観的な見方をしていると述べた。 しかし、ファーレイCEOは、規制当局のパブリック・ブロックチェーンの仕組みに対する不信感を考えると、伝統的なRWA(現実資産)が一斉にデジタル資産に移行することはないだろうと述べた。 「規制当局は、権力欲の強い、粘着質な手をあらゆるものに伸ばしたがっている」 つまり、規制当局は既存のブロックチェーンを決済に利用するのではなく、プライベート・ブロックチェーンを開発するよう、伝統的金融機関に働きかけるだろうとファーレイCEOは述べた。 |翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:ファーレイCEOとマーティン社長(Shutterstock/CoinDesk/Suzanne Cordiero)|原文:NYSE Would Consider Crypto Trading If Regulatory Picture Were Clearer, President Says at Consensus 2024
CoinDesk Japan 編集部