「負けてしまったら意味がない」巨人27歳捕手が球団通算1万1000号も逆転サヨナラ負け許し反省
◆日本生命セ・パ交流戦 楽天7×―6巨人(11日・楽天モバイル) 迷いのないスイングから放たれた打球がぐんぐん伸びた。節目の一発が岸田のバットから生まれた。両チーム無得点の2回2死一塁。2ボールからの3球目、ポンセの投じた真ん中高め150キロ直球を左翼席へ運んだ。先制の2号2ランは、球団通算1万1000号。「早い回に(山崎)伊織を援護できて良かったです。チーム1万1000号という特別な一本を打つことができてとてもうれしいです」。意気揚々とダイヤモンドを一周してベンチへ戻ると、仲間から熱い祝福を受けた。 【動画】岸田行倫のティー打撃!片手スイングでもしっかりミート 球団史に残るメモリアルな一撃。試合前時点で次のアーチが1万1000号となることについて「全然分かってなかったです」と明かし、バットを短く持って無欲でかっ飛ばした。王貞治が3000号、原辰徳が4500号、松井秀喜が6500号を放つなど、名だたるレジェンドたちが記念の一発を彩ってきた中で、見事に名を刻んだ。 春先はどん底にいた。春季キャンプの実戦形式でバットが沈黙。キャンプ中は休養日を返上して、一人打ち込みを敢行したが、復調の糸口は見えなかった。オープン戦でも打率1割5分4厘と低迷。開幕2軍スタートになった。 もがき苦しむ中、ファームで自己を見つめ直した。「守りに入っていた。受け身にならずに攻めていくことを意識して、どんどん自分から仕掛けないとだめだ」。結果を求めて、打席で考え過ぎていたことに気づいた。積極性を取り戻し、本来のスイングをつかんだ。今季2本目のアーチは、打者有利の2ボールからの一振り。迷いなく攻めた結果だった。 自身に続き、泉口がプロ初本塁打、4回には丸の3ランと今季初の1試合3発と序盤にリードを広げたが、痛恨の逆転サヨナラ負けが笑顔を奪った。チーム4連敗。捕手として勝ちに導けなかった責任を受け止めた。「序盤にいい流れをつくれたけど負けてしまったら意味がない。勝ちきれるようにやりたい」。存在感が増している27歳が攻守でチームを支えていく。(宮内 孝太) ▼G通算1万1000号 巨人は11日、楽天1回戦(楽天モバイル)の2回に岸田が本塁打を放ち、プロ野球初の球団通算1万1000号。初本塁打は、1リーグ時代の1936年7月15日タイガース戦(山本)で中島治康が記録。
報知新聞社