ヨルシカ、あいみょん、Ado……夏のドラマを彩った女性ボーカル主題歌
8月も後半となり、7月から始まった夏ドラマもいよいよ佳境を迎える頃だ。 数々の国民的アーティストが主題歌を担当したことでも注目を集めた今期のドラマ。そんな夏ドラマの主題歌やテーマソングのなかから、今回は女性シンガーや女性ボーカルのバンドの楽曲をピックアップしていきたいと思う。 【画像】あいみょん、クレジットカード不正利用されて怒り ■ヨルシカ「忘れてください」 『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)の主題歌。身元不明の遺体に残された手がかりから、死の真相を突き止めて待つ人のもとへ帰すというドラマのストーリーにあわせ、曲からは“永遠の別れ”の香りが漂う。〈海の側の小さい駅を歩いて五分の海岸の、僕と見た翡翠の色〉といった具体的な描写の後に続く〈忘れてください〉は、残された相手の幸せを願う言葉にも、「忘れないでほしい」の裏返しにも聞こえる。穏やかなピアノの音色にのせたsuisの儚げな歌声も、感傷的なムードを誘う。 実写とアニメーションを融合したMVは、ずっと真夜中でいいのに。やEveの作品も手掛けてきた映像制作ユニット・擬態するメタが担当。ストーリー性のあるMVも、曲の世界観を深めるために一緒に楽しみたい。 ■あいみょん「ざらめ」 9月11日にリリースされる5thアルバム『猫にジェラシー』からの先行配信でもある「ざらめ」は、『降り積もれ孤独な死よ』(読売テレビ/日本テレビ系)の主題歌。あいみょんはこれまでにも数々のドラマ主題歌を手掛けてきたが、意外にもサスペンスドラマとのタッグは初だという。 〈この胸に刺さった/無名の刃を抜く術は何処〉〈この胸に残った鉛の屑は/いつか溶けるだろうか〉という重々しい言葉たちは作品の内容から導かれたものだとしても、心の傷みと闘いながら自分の意志で力強く歩いていくことを願うような楽曲テーマには、共感する人も多いのではないだろうか。あいみょんらしい、耳に馴染む美しいメロディラインも健在。なお、MVの監督はBialystocksのボーカルであり、映画監督でもある甫木元空が手掛けている。 ■Ado『残夢』 『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』、『Adoの歌ってみたアルバム』などの作品リリースが続いていたため、あまりブランクは感じないのだが、前作フルアルバム『狂言』からは約2年ぶりのフルアルバム。『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)主題歌である「ルル」までのリリース作品と、新曲群の全16曲が収録されている。この2年間のAdoの軌跡を辿れるアルバムだ。「一曲ごとに」というよりは一曲のなかでも変貌を遂げる彼女の多彩なボーカルが光っている。 『残夢』というタイトルには、叶えた夢と叶わなかった夢が自分のなかに残っていくこと、自分の存在や楽曲がリスナーにとって心に残る夢であってほしいという想いが込められているという。2年という時間で、より表現力の増したAdoの歌声を聴きながら、これからも彼女が抱く夢を叶えていってほしいと思う、そんなアルバムだ。