「コロナ禍は終わった」とする企業4割にとどまる
-コロナ禍の終焉に関する企業アンケート-
2023年5月8日に新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」へ移行し、これまでの行動制限が撤廃され、本格的なポストコロナ社会が到来しています。 そこで帝国データバンクは、コロナ禍の終焉に関する意識について企業へアンケートを行いました。
企業の3割以上がいまだコロナ禍は終わらず
新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」)が5類へ移行し、9カ月が経過したが、自社の企業活動を行ううえで、コロナ禍は終わったと感じるか尋ねたところ、「コロナ禍は終わった」とする企業は40.2%と4割にとどまりました。 他方、「どちらとも言えない」は27.7%、「コロナ禍は続いている」は31.3%となりました。依然として3割を超える企業で、コロナ禍は続いていると捉えている様子がうかがえます。 企業からは、「客先への訪問禁止などはなくなり、設備投資再開の動きも活発になるなど引き合い自体は多い。事業への直接的な影響としてのコロナ禍は『終わった』と言える」(機械製造)といった声があがりました。 一方で、「周囲に感染者が出ているため、まだ終わったとは言い難い」(建設)、「観光バス事業においては、稼働水準がコロナ前にはまだ至っていない」(運輸・倉庫)といった声も寄せられています。
コロナ禍前と比較し、自社の働き方が多少なりとも『異なる』企業は66.3%
新型コロナ禍を経て、自社の働き方が新型コロナの流行前(2019年以前)と比較してどの程度変化したか尋ねたところ、多少なりとも『新型コロナ前と異なる』とした企業は66.3%と7割近くにのぼりました。
企業にはコロナ禍で蓄積されたノウハウを生かし、新型コロナと共存しながら今後も発展的な挑戦が望まれる
本アンケートの結果、「コロナ禍は終わった」と捉えている企業が4割にとどまっており、依然として3割を超える企業で「コロナ禍は続いている」と考えていることが分かりました。 5類へ移行する前よりは警戒の程度は低下しているなかではありますが、感染者が今なお発生している状況や重症化リスクなどから多くの企業で危機意識を持っています。さらに、人流は復活し、経済活動も本格的な回復に向けて動いていますが、新型コロナ流行前と同レベルの業績に至っていないといった声もあります。 現時点で、「新型コロナウイルス感染症は5類に移行しましたが、感染が収束したとは言えない状況が続いて」いるといった感染症の専門家の意見もあるなか、大半の企業でコロナ禍が終焉を迎えたと考えるには、まだ時間を要するでしょう。 また、コロナ禍以前との働き方の比較においては、劇的に変化した企業もあるが、多くは新型コロナの流行以前から多少の変化にとどまる様子もうかがえました。しかし、テレワークやWEB会議ほかデジタル技術の導入、その適用状況は働き方改革を進展させる一助になったと言えるでしょう。 企業にはコロナ禍での厳しかった経営環境を乗り越え、蓄積されたノウハウを生かし、新型コロナと共存しながら今後も発展的な挑戦が望まれます。 有効回答企業:1,266社 アンケート期間:2024年2月9日~14日