タクシー運転手の伊藤富夫さん（74）が、高齢の女性客（87）が特殊詐欺の被害にあうのを未然に防いだとして、25日、警察から感謝状を贈られました。 ▼【解説】特殊詐欺グループに“人気”の東南アジア…なぜ拠点に？　グループ元リーダーが語る「ワケ」 特殊詐欺を未然に防いだ　伊藤富夫さん（74） 「お客様の声って、運転手は敏感なんですよね」 実は、伊藤さんの息子は現役の警察官。そのため、日頃から乗客の“異変”に注意していたといいます。 　　　　◇ 2023年の暮れ、高齢女性（87）がタクシーに乗車してきた時の、実際の映像が記録されていました。 女性客（87） 「オレオレ詐欺」 タクシー運転手　伊藤富夫さん 「気をつけないとね。もう暮れだから」 このとき女性客は、“おびえるような声”でオレオレ詐欺について、話しかけてきたといいます。 最初は世間話だと思っていましたが、話を注意深く聞いていると―― 伊藤富夫さん 「（電話）きたの！？」 女性客（87） 「きたの。声が、ちょっと違う」 “息子だと名乗る男”から、女性の自宅に1本の電話がかかってきたというのです。 女性客（87） 「いやいやいやいや…。“いくらくらいなら用意できる？”っていうから。“上司が600万円用意してくれる”っていうから、あと残りをって…」 “息子を名乗る男”は、女性に、こんな電話をかけてきたといいます。 息子名乗る男 「会社で損害をだした。上司が600万円を出してくれるようだけど、（残りの）300万円なんとかならないか」 女性は、オレオレ詐欺を疑いながらも、“本物の息子”である可能性も捨てきれず、男に「200万円なら用意できる」と答えてしまったといいます。 　　　　◇ この経緯を、タクシーの車内で聞いた伊藤さんは…。 伊藤富夫さん 「そしたら？」 女性客（87） 「（自宅にお金を取りに）午後くるのよ」 伊藤富夫さん 「そう。気をつけないと。交番に言った方がいいよ」 女性客（87） 「交番まで連れていってもらおうかしら」 伊藤富夫さん 「交番でいいね。あいよー」 　　　　◇ 通報を受け、警察官が女性の家に行くと、お金を受け取りにきたとみられる男の姿が…。男は、詐欺の疑いで逮捕されました。 伊藤富夫さん 「あんだけお年寄りを、言葉が震えるほどおびえさせるというのは、許せないですね」