英王室に批判殺到...。前年より「88億円」プラス、「過去最高額」の王室助成金を受け取る予定へ。国民からは"疑問の声"
イギリスのロイヤルファミリーの財政状況を巡る話題は2024年、しばしば人々の関心を集めた。そしてそれは、2025年も変わらず続いていくものとみられる──王室が4月に財務省から受け取る「王室助成金」の金額は、前年より4500万ポンド(約88億円)多い1億3200万ポンド(約259億円)となり、過去最高額に達するという。 【写真】王室反対派の「Not My King」。大量のプラカードに、カミラ王妃も思わず苦笑い...。 この金額について、君主制の廃止を求める市民団体「リパブリック」のグレアム・スミス代表は、増額は「恥ずべきこと」と批判。子ども達の学校や、市民が利用する病院、警察などに十分な資金を提供できない現在のような状況下では、「本来なら減額を検討すべき事態」としている。 助成金の増額が明らかにされたとき、バッキンガム宮殿は、「その大半は、すでに金額が確定しているバッキンガム宮殿の改修工事費、3億6900万ポンド(約725億円)の一部に充当される」と説明した。だが、2025年の助成金のうち工事費用に充てられる具体的な金額は、公表されていない。 20年以上にわたって王室を担当している『デイリー・エクスプレス』紙の記者、リーチャード・パーマーは、政府予算の総額からみれば「この金額は、ごくわずかなものだ」と述べている。ただ、王室が国庫から受け取る金額は人々の関心事であり、1面のトップ記事に最適なのだと指摘。特に2025年は、「増額に眉をひそめる人が多かった」としている。
また、チャールズ国王とウィリアム皇太子がそれぞれ所有するランカスター公領とコーンウォール公領から私的に得る収入も、さらに厳しい監視の目にさらされることになるとみられる。 国王と皇太子が公領から得る収入については2024年11月、イギリス『チャンネル4』のドキュメンタリー番組『Dispatches(ディスパッチズ)』が取り上げており、王室が国民保険サービス(NHS)や軍隊、慈善団体から不動産賃貸料を徴収しており、それがロイヤルたちの私的な収入になっていることを紹介している(タイトルは『The King, The Prince and Their Secret Millions』)。 2025年は公領の廃止に向けた活動を開始する計画だと明らかにしているリバブリックのスミス代表はこの番組について、「かなり腹を立てている人たちもいると思う」と述べている。 公領は君主とその継承者に収入をもたらすための土地と不動産ポートフォリオ。2024年度には、国王はランカスター公領から2740万ポンド(約53億8100万円)、皇太子はコーンウォール公領から約2360万ポンド(約46億3400万円)の収入を得ている。 これらは私的な利益とみなされているものの、公的にも利用されている。だが、それでも君主制に反対する活動家たちは、「国が所有するものである公領」があげる利益は、財務省に収められ、公共の目的のために使用されるべきだと主張している。 エリザベス女王とフィリップ殿下の逝去、そしてヘンリー王子とメーガン妃の王室からの離脱、アンドル―王子の引退を受け、公務を行うロイヤルファミリーのメンバーは数年前から減少している。そして、ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の子どもたちが公務を担える年齢になるまでの数年間は、その人数が再び増える可能性は低い。
パーマーは、「ロイヤルファミリーが年間およそ3500件もの公務をこなしていた時代はもう過去のものです。つまり、国民が同じ支出額で(王室から)得られるものは、減少していることになります」と話すいっぽう、次のようにも述べている。 「全般的に見れば、君主制はイギリスという国にとって良い働きをしていると思います。国民すべてを結びつける『接着剤』の一部になっていますから。ですが、それは『団体・個人としてのロイヤルファミリーを絶対に批判すべきではない』という意味ではありません。ロイヤルファミリーだからといって、彼らが監視の対象外になるわけではないのです」。
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