侍Jは“バンデン隠し”を仕掛けてきたオランダに勝てるのか?
バンデンハーク攻略に糸口はあるのだろうか。 里崎氏は「強いて言えばクイックが苦手です。走者が出た場合は、積極的に揺さぶること。山田、菊池、青木、松田も走れますからね。まっすぐが速いので、そこで押し込まれると変化球への対応も難しくなります。とにかく、力負けしないこと。侍ジャパンには、バンデンハークのまっすぐに強いバッターがいます。彼らが口火を切るしかない。 おそらくWBC用に少しピッチングスタイルが変わるので、このカウントでは、この球種というデータも出ているかもしれない。それを徹底して追いかけるのも手ですね。小久保監督のコメント通りに、早く降ろすことです。無失点のまま後半に入ることは危険でしょう」と言う。 バンデンハークは、その連勝記録の達成以降、ちょうど交流戦の頃から疲労の蓄積で体調を崩し3か月半ほど戦列を離れた。1次リーグの韓国戦では、不振の打線を相手にして、三振はひとつも取れていなかった。いつも投球イニング以上の三振を取るバンデンハークにしてみれば、珍しい現象。大きな壁となって立ちふさがることは間違いないが、どこかに死角はあるのかもしれない。 バンデン攻略のためには、石川が我慢のピッチングを続けて「打たれてはならない」というプレッシャーをかけることが重要になる。 小久保監督は、「独特の緊張感のあるキューバ戦でもいつも通りのマウンドさばきでゲームを作ってくれた。明日も作ってくれることを期待している」と、石川のつかみどころのない胸の内と、世界でも珍しい角度で落ちるシンカーを武器に組み立てるピッチングスタイルに賭けた。 里崎氏も、先発の頑張りが打倒オランダの最優先事項だという。 「この試合に負けると、2次ラウンド突破は非常に厳しくなります。絶対に負けられない試合です。ポイントの第一は、先発投手がゲームを作ること。6回2失点。それが最低ノルマでしょう。ただ球数は気にすることはないと思います。球数を使っても抑えることを優先した方がいいんです。 1次ラウンドで投手の見極めはできたと思うので、第二先発には千賀を使いたいところですね。オランダのブルペンの力量は落ちるようですが、相手打線のレベルを考えると、後半勝負は危険です。ポイントの第二は先取点じゃないでしょうか」 権藤投手コーチも、「球数制限は2次になると80球になるが、相手のレベルが違ってくる。そこを気にせず、悪ければどんどん代えていきますよ」と、2次ラウンドからは、総動員体制で臨むことを口にした。 権藤投手コーチも「千賀の投入」がポイントだと考えているようである。 オランダ打線は、このプールEでは突出している。 「豪華な内野陣。昨年秋のチームの中心が下位を打つ打線は強力」 小久保監督が言うように、内野陣は、全員がメジャーのレギュラークラス。それも、レッドソックスのボガーツは昨季.294、21本、13盗塁の数字を残してメジャー球宴に選出されているし、ヤンキースのグレゴリアスが.276、20本、オリオールズのスコープが.267、25本の成績。ドジャースのシモンズがショートを守る。そして4番に座るのがヤクルトのバレンティンである。 ボガーツ、スコープ、グレゴリアスの3人は声をそろえて、「バレンティンに日本選手の情報を教えてもらっている」と言った。パ・リーグの石川の情報をバレンティンがどれだけ語れるかも疑問だが、その存在がオランダチームの精神支柱となっているようなら嫌である。 小久保監督が「もっとも大事」と位置づけているオランダ戦。アメリカ行きの命運をかけた戦いになる。