侍Jは“バンデン隠し”を仕掛けてきたオランダに勝てるのか?
2次ラウンドの開幕前日から前哨戦の火花が散った。 WBCの2次ラウンドに向けた公式練習が11日、東京ドームで、イスラエル、オランダ、キューバ、日本の順序で行われたが、今日12日に侍ジャパンの初戦で対戦するオランダチームは、記者会見で先発を公表しなかった。大会は予告先発で進められ、前日の夜9時に発表されることになっているので、ここまですべてのチームが公式会見の時点で質問を受ければ公表していた。隠したとしても、7時間程度のことだが、元ヤクルトでプレーしたミューレンス監督は、「あなた方を失望させることになるかもしれないが、発表時刻まで先発は言えない」と、名前を言わなかった。 先発の有力はバンデンハークだった。韓国で開催された1次リーグプールAでのオランダの初戦は7日の韓国戦だったが、先発はバンデンハークで4回を投げて3安打無失点。投球数は62球だった。12日は、ちょうど中4日。バンデンハーク以外は考えられなかったが、そのバンデンハークも、口裏を合わせるように囲み取材に対して、「私が投げる可能性はあるのかもしれないが、今は何もいえない」と、煙に巻いたのである。 一方、小久保監督は、堂々と隠すことなく「石川です」と、記者会見の時点で、先発が石川歩になることを公表した。正式発表時間より3時間ほど前のこと。結局、午後9時に大会本部から発表されたオランダの予告先発投手は、バンデンハークだった。 たかが7時間のロスである。だが、第一回優勝メンバーで評論家の里崎智也氏は「できる限り早くデータは欲しいですね。午後9時ならさすがにミーティングはできない、2時の時点でわかっていたら、ミーティングをホテルに帰ってすぐにできるのかもしれない。選手は、前の日に一度、目を通しておきたいものです。考えてみれば、早く先発を教えることはマスコミへのサービスだけで、戦術的にデメリットこそあれなんのメリットもありません。ミューレンス監督は、戦略的にそういうことをやってきたのかもしれません」と、このたかが7時間の“バンデン隠し”の狙いと効果を分析していた。 裏を返せば、それだけオランダがこの日本戦を重要視しているということである。 ミューレンス監督は、「日本が、このグループの中で一番強いチーム。有利だろう。世界の中でもかなり強い優勝候補だ。まだ詳しいスカウトレポートは見ていないが、うちは最高のゲームをしなければ勝てない。ただ例え負けてもセカンドチャンスはある」と語った。 バンデンハークは、日本に勝つ自信があるのか?と聞かれると、間髪いれず「オフコース(もちろん)」と答えた。「勝つ自信はある。相手も私のことを知っているが、私は日本のことをよく知っている」。 一昨年から昨年にかけて、元巨人の堀内恒夫が持っていた初登板から13連勝の記録を50年ぶりに更新して14連勝を成し遂げた。もうパの球団は降参状態だった。 小久保監督は「先発ピッチャーがゲームを作らないと逆転は難しい。予想ではバンデンになっているけれど、彼をいかに早く降ろすかが大切になってくる。あと3時間ほどでわかるので、それを見て、どうすることが嫌な打線になるのかを考えて、今晩(オーダーを)しっかり悩みたいと思います」と語った。