古川琴音×下津優太インタビュー 受け入れるべき“人の業”と“幸せ”の意味を考える
ふだんの2人が怖さと幸せを感じるもの
──本作はホラーですが、お2人が怖いと思うものは何ですか。 古川:私はクジラが怖いんです。私にとってクジラは、深海の真っ暗な中、目だけギョロッと動いている大きな生き物というイメージで。わからないことがたくさんあるせいか、漠然と怖くて。上野公園にあるクジラの像とか本当に怖いんですよ。 下津:クジラ限定なの? 深海自体が怖いの? 古川:クジラが特に怖くて。深海って、深くて暗くて、よくわからない要素が多すぎるじゃないですか。たぶんそれが怖いんだと思います。監督はありますか。 下津:何だろう。出てこないなあ……。 ──この映画の世間の評価とか怖くないですか。 下津:それは怖いです(笑)。それでいきましょう(笑)。たとえば原作があったら、まだ逃げ道はあるんですけど、この作品は原作・監督・編集まで全部僕。だから、評価は全部僕に来る。それに耐え得るメンタルがまだちょっと弱いんですけど、戦っていかないといけないですね。 ──もうエゴサはしましたか。 下津:今日(※映画公開日に取材)、ちょっとしました(笑)。 古川:すごい! 勇気ある! ──では、お2人が幸せを感じる瞬間は? 古川:甘いものを食べているときですね。甘いもの全般好きなんですが、中でも洋菓子ならショートケーキ。和菓子だったら大福。王道の王道が大好きです。 下津:『イエスタデイ』という映画の中に「幸せになる秘訣を知りたいか? 愛する女に愛を伝え、ウソをつかずに生きることだ」という台詞があって、その台詞が大好きなんですね。僕はその台詞をモットーに生きています。 ──改めてですが、本作が下津監督にとっては長編初監督作品となります。 下津:新人監督の1本目がオリジナル作品で、古川琴音さんに主演いただき、こんなに自由につくらせていただけるなんて、本当に幸運でした。自分の心のパンツを脱いで、すべてさらけ出してつくれた手応えがあるし、出来上がった作品にもとても満足しています。この映画をつくった2年間は、自分にとって幸ある2年間でしたね。 古川:下津監督の長編初監督作品はこの1作しかないので、それに関わることができたことはすごいラッキーだったなと思っています。やっぱり作品って出会いだと思うので、これからもひとつ一つの出会いに誠実に向き合いながら、この仕事を続けていきたいです。 ──出演はもとより普段からいろんな作品をご覧になっている古川さんですが、最近ハマっているエンタメ作品はありますか。 古川:今ハマっているのは、『BEASTARS』というアニメです。肉食獣と草食獣が通う学校で、草食獣が肉食獣に殺される「食殺事件」が起きて……というお話で。キャラクターがみんな動物なのに、人間よりもずっとヒューマンドラマなんですよ。動物たちが本当にカッコよくて、動物だからこそ純粋な気持ちがスッと入ってくる。ここ3日間、ずっと観ていて。今日も鹿が泣いているのを見て泣いてきました(笑)。