イオン、セブン、ドンキ…… なぜ安くて価値ある独自商品が次々と生まれるのか 注目すべきPB10選
イオン、セブンなど大規模小売りがPBに注力
PBの伸びも顕著です。イオンは2024年2月期におけるトップバリュブランドの売り上げが1兆円を超え、2019年と比較し20%以上の伸びとなりました。セブン&アイ・ホールディングスは2024年2月期にセブンプレミアムの累計売上高が15兆円を超え、2025年2月期には前期比500億円増となる、1.5兆円の売り上げを見込んでいます。 ファミリーマートはPB誕生から3年で1000種類以上へと拡大し、ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは前期比で500億円弱も成長し、PBの売り上げは2461億円(構成比19.3%)に達しました。 マツキヨココカラ&カンパニーはPB商品構成比を2026年3月末までに15%へ高める計画で、DCMホールディングスも2030年に50%という意欲的な目標を発表しています。目標という点では、イオンが2025年までにPB商品を全て環境配慮型にすると宣言したのは、ESG経営の潮流において、象徴的なことです。 これらの結果や計画から、各社がPB強化路線であることは一目瞭然です。また、イオン、セブン&アイ、ドン・キホーテを中心に、PB品質の改善も目立ちます。メーカー商品のパッケージをただPBに差し替えただけのようなものでは消費者の心に響きません。各社が価格と価値のバランスにあらためてチャレンジしたことで、昔あったような「安かろう悪かろう」「NBの廉価版がPB」というイメージは払拭(ふっしょく)されつつあります。 せっかくですので、話題性もあり、かつ消費者から支持されているPB10選を紹介しましょう。 私が注目しているのは、無印良品「消臭機能付き くりかえし使える除湿剤」(990円)、ダイソー「静電容量式充電タッチペン for iPad」(1100円)、ワークマン「ファイングリップシューズ」(1900円)などです。 無印良品の除湿剤は使えるシーンの多さ、ダイソーのタッチペンはハイプライスとの格差&機能性、ワークマンのシューズは滑りにくさがそれぞれポイントです。 たった10商品をピックアップしただけでも、各社のPBが持つ特徴が多岐にわたることが分かります。 PBの成果の一例として、圧倒的なのがワークマンです。新しく開発したウェア「着る断熱材」シリーズの予約販売分2万点が4日で完売、ランドセルも在庫消化率が90%など、大きな成果を出しています。
PBがNBより高評価な時代に?
昨今はPBとNBの価格と価値のポジショニングに変化が生じています。一般的にPBには低価格メリットがあることに大きな変化はありませんが、各社の商品価値が向上したことで、NBより安く、かつ価値は同等。さらに商品によってはNBを上回ると消費者が感じるケースも増えています。 今後も各社のPBから、さまざまな切り口のヒット商品が誕生することでしょう。それが粗利率向上につながるとともに、消費者の生活を更に便利にすることでしょう。小売業各社のPBの展開に大きな期待と注目が集まります。 (佐久間俊一)
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