台湾、インフレリスク強まり公債需要後退-地震後も景気堅調
(ブルームバーグ): 台湾で公債需要が後退している。堅調な経済見通しの中、しつこいインフレが金融当局に追加利上げ圧力をかける可能性があるとの警戒感が背景にある。
22日に実施された5年物公債入札の結果は利回りが1.63%と、2008年以来の高水準となり、弱気センチメントがピークに達した。台湾公債相場のベンチマークとなる10年債利回りは、台湾中央銀行が予想外の利上げに踏み切った3月に大きく上昇し、年初来の上昇幅は46ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達している。
米金融当局が引き締め策を長期化させる中、世界的に固定金利資産への投資意欲が低下。4月上旬に大きな地震に見舞われた台湾だが、域内経済の強靱(きょうじん)さもあり台湾公債相場は下押し圧力に直面している。
先週行われた10年債入札も応札倍率が1.17倍と、ブルームバーグがデータ収集を開始した2000年以降で最低の水準となり、投資家需要の不振を示す結果となった。10年債利回りは19日の取引終了時点で1.67%と、22年11月以来の高水準近くまで上昇した。
10日に発表された3月の台湾輸出は、世界的な人工知能(AI)ブームに押し上げられ、ここ2年での最速ペースで急拡大。また、ブルームバーグのアナリスト調査では、今年の経済成長率は3.2%と、昨年(1.3%)の2倍を超えると見込まれている。
3月の消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回る伸びとなったものの、4月の電気料金引き上げや消費需要の強さを背景に今後は上振れの可能性がある。
IBFセキュリティーズのトレーダー、ティム・ユ氏は、「台湾中銀による追加利上げの可能性は排除できず、台湾公債に対する市場のセンチメントは今、非常に弱い」と指摘している。
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原題:Bond Demand Evaporates in Taiwan as Inflation Risks Mount (1) (抜粋)
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Tania Chen, Betty Hou