「再審の扉」再び開く、逮捕から37年否認し続けた前川彰司さん…袴田巌さん無罪確定「追い風」
気持ちが奮い立ち、訃報(ふほう)から4か月後の22年10月、再び再審請求を申し立てた。それから2年。「佐藤さんも天国で弁護してくれているはず」と思いをはせる。
前川さんは、再審無罪が確定した袴田巌さん(88)、姉のひで子さん(91)とも交流を重ねてきた。先月26日には静岡地裁に足を運んで無罪判決の瞬間を目の当たりにし、「追い風になる」と勇気づけられたという。
袴田さんに続き無罪判決を勝ち取ることが、自身の潔白を証明するのはもちろん、再審制度の改正にもつながると信じ、決定前には「再審へのか細い道を広げるんだ」と意気込んでいた。
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ずっと無罪を信じてくれた父の礼三さん(91)は2年前から、福井市内の福祉施設に入居している。
前川さんは週2回ほど会いに行き、甘いものが好きだという礼三さんにチョコレートや駄菓子を差し入れる。北陸新幹線が福井県まで延伸された今年3月には、「福井駅の駅舎を見に行こう」と車で連れ出した。
礼三さんは決定前の取材に、「とても優しい子。今度こそ正義が天に届くと信じている」と話していた。足が悪く、23日は高裁金沢支部に行けず、施設で前川さんからの連絡を待つ。
再審開始が認められた前川さんは語った。「父親には真っ先に電話して知らせたい。『再審の扉が開いたよ』と」