テイラー・スウィフトも巻き添えに...英サウスポート暴動にみる「デマによるSNS煽動」の恐ろしさ
7月29日(現地時間)にイギリスのサウスポートで、テイラー・スウィフトの曲をテーマにしたダンス&ヨガ教室で、3人の小さな子どもたちが刺殺されるというショッキングな事件が起きました。これに対してテイラーはインスタグラムのストーリーで追悼コメントを投稿。 【画像】「我々は移民を歓迎する」現地では暴動や移民排斥に反発するデモも活発化、分断に差す光に(ほか写真4枚) 「昨日のサウスポートでの攻撃の恐怖が絶えず押し寄せてきて、私はものすごいショックを受けています… 命と無垢の喪失、そしてそこにいたすべての人、家族、最初の対応者に与えた恐ろしいトラウマ。ここにいたのはダンスクラスの小さな子どもたちでした。私は、これらの家族に哀悼の意を伝える方法について、完全に途方に暮れています」 テイラーのせいではないのに、テイラーを愛するファンの子どもたちが犠牲になってしまった。この事件は現在ヨーロッパで「ジ・エラズ・ツアー」を開催中のテイラーの心を痛めたはず。そしてこの出来事はさらに、思わぬ方向に発展してしまいます。 Xでイギリスの極右グループが、この刺殺事件の犯人は「ボートでイギリスに辿り着いたイスラム系の不法移民」という情報を拡散し、市民の怒りの矛先は移民たちへ。実際の容疑者は17歳のイギリス人男性だったと警察が発表した後も、誤情報はそのまま拡散され、誤った犯人の氏名は事件翌日正午までにXで3万回以上もメンションされたのでした。 事件翌日に行われた犠牲者のための追悼集会にはおよそ1000人の市民が集まったのですが、その後、地元のモスク近くで暴動が勃発。人々はモスクや警察官にレンガやボトル、火薬などを投げつけ、警察車両が放火されて27人の警官が病院に運ばれるという事態に。 この「サウスポート暴動」はイングランド南西部のプリマスから北東部のサンダーランドまで広がり、さらには北アイルランドのベルファストへとイギリス各地へ拡大。群衆はモスクや難民申請中の人たちの宿泊施設を攻撃し、建物や車に火をつけ、店から略奪を行ったのです。暴動は1週間も続き、8月8日現在で400人以上が逮捕され、140人が起訴されたと言います。
さかい もゆる