「中国本土の投資家」が仕掛けるニセコ再開発…その「規格外な現状」と「隠された目的」
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第15回 『日本に「韓国人様のためのリゾート」…韓国資本が虎視眈々と狙うニセコの「韓国化」』より続く
ニセコ初の大規模商業施設
高級コンドミニアムだけではない。ニセコエリア初の大規模商業施設「アルクザカストリート」も誕生予定だ。香港の不動産開発会社メトロポリー・ホールディングス・リミテッドによる、コンドミニアムとホテル、ショッピングモールを備えた複合施設となり、2024年の全計画完成を目指している。 事業費は約230億円。ニセコグラン・ヒラフスキー場の南約100mに位置し、敷地面積は約3haもある。200台以上収納の地下駐車場を設け、緩やかな勾配のある約200mの歩行者専用道路の両側に中層棟を計12棟建築し、コンドミニアム168部屋、ホテル126室を設置、下層階には、レストラン、カフェ、ベーカリーだけでなく、アパレル、雑貨、銀行や薬局など60店舗以上の誘致を想定しているという。
暗躍する中国系不動産開発会社
ニセコビレッジ周辺では、中国系不動産開発会社「ヴァージニア」が2023年冬の開業を目指し、100室超の高級コンドミニアム1棟と貸別荘5棟を備える大型リゾート「フェザーリゾート・ニセコ」の開発を計画している(北海道新聞2020年8月5日)。中国本土の投資家による大型開発は珍しいという。 開発予定地は、約4・2haに及び、ホテルは地上11階地下2階の延べ約2万㎡で、貸別荘5棟はいずれも3階建てとなる見込みだ。総投資は100億円を超えるとみられる。現時点で施設のブランドは未定だが、香港系の高級ホテル運営会社と交渉を進めているという。筆者は、ペニンシュラやマンダリンオリエンタルなどが候補とみている。
高橋 克英(金融アナリスト)