柔道とレスリングの"二刀流"から、アメフトの世界へ アニマルリッツ復活へ、いざ関立戦「パワーでゴリ押しして勝ちたい」
学生ラストイヤーでつかんだスターターの座
小学2年で柔道を始め、母が「興味あったら何でもやりや」と言ってくれたから、ラグビー、サッカー、水泳、ボクシングにも取り組んだ。母のいとこが立命館大学でアメフトをしていたこともあり、中2のときに関立戦を見に行った。でっかいスタジアムに大勢の観衆が集まってきて、チアリーダーもいる。すごい世界があると知った。「当たりの音が聞こえてきたり、ベンチにいる選手が声を出しまくってたり。いろんなことに驚かされて、僕もやりたいなと思いました」 スポーツ推薦で進学し、パンサーズの門をたたいた。実際にやってみると、ひたすらに面白いと感じた。「当たったときの頭がガーンってなる感じ(笑)。あれがちょっとクセになってもうて。とくに1対1の当たりが好きになりました」 周りはほとんどがフットボール経験者。高校で活躍した選手もゴロゴロいる。そこで塚本は考えた。「小学生のときからアメフトをやってきた選手もいる中でどう戦っていくか。自分の強みは体の強さだと。それでウェイトトレーニングにはすごく力を入れました」。いまマックスの数値はベンチプレスが160kg、スクワットが260kg、パワークリーンが130kg。「BIG3」トータルの550kgはパンサーズでナンバーワンだ。 ただ、それだけでは通用しなかった。思えば昨年までは強さばかりを追い求め、DLのファンダメンタルをおろそかにしていた。この春から継続して基本的な動きの習得に努め、低い姿勢のまま動き続けていたレスリング時代の財産が、ようやく生き始めた。そして学生ラストイヤーにしてスターターの座をつかんだ。「学生スポーツは人生の中で限られた時間だけです。その最後の1年なので、小さいころからスポーツに取り組ませてくれたお母さんに恩返しできるように気持ちを込めてやってます」。本当に気持ちのいい男だ。
厳しいことを言われるのは、期待の裏返し
就任1年目の高橋健太郎監督は塚本にはわざとキツく当たってきた。「ラインの選手は走り込みの練習は『これぐらいでええやろ』って感じでやる選手が多いんです。でも塚本はあの明るいキャラクターで『低く速くいくぞ!!』みたいな声かけをする。本来の立命の看板であるDLのスタンダードを上げてくれる選手だからこそ、ちょっと気を抜いてるなってときはボコボコに言ってきました。アイツならそれに応えてくれると確信しているからです。僕の顔も見たくないって時期もあったと思います。でも同期の水谷天空と二人で、しっかりやり抜いてくれました」 塚本は言う。「柔道の師範にいつも聞かされてたんです。『言われてるうちが華やぞ』って。厳しいことを言ってくれるからには期待されてるってのが自分の中に落とし込めてたんで、健太郎さんに何を言われても前向きにとらえてやってきました」