子育て政策どこが変わった? こどもまんなか元年を振り返る
■財源をめぐる説明不足
こども政策の今後の方向性や施策については、一定の評価がある一方、理解が得られにくいのが財源だ。加速化プランの財源3.6兆円は、既定予算の活用で1.5兆円、社会保障の歳出改革で1.1兆円、こども・子育て支援金制度で1兆円を賄うとされている。 新たに創設される支援金は、医療保険料を集めるルートで集められるが、岸田首相は「賃上げ」と「歳出改革による社会保険負担の軽減」、その効果の範囲内で支援金を構築し、国民に実質的な負担を生じさせないと説明した。 しかし、個人ベースで見れば、賃上げがあまりない人もいる上、支援金は負担能力に応じて納めるため、所得や加入する保険によっては負担増になる人もいるとみられる。具体的な負担額は明らかになっていないが、説明不足だとの声が上がっている。 また、「歳出改革による社会保険負担の軽減」が、どの程度あったか計算する際、政府の解釈では、医療・介護従事者の賃上げのために人々の保険料が上がる分は、負担増とはみなさないという。新たな支援金のために「負担増を生じさせない」と明言したため、なんとかそれを達成しようと前提条件を変更したようにも見えてしまう。政府関係者は「負担とされる部分ばかりに目を向けないで、実現される施策とともに評価してほしい」と繰り返す。 しかし、説明がわかりにくいからこそ、負担増の解釈に関心が向いてしまう。子育て支援と言いながら、子育て世代に、さらに負担を強いる方針を言い出しにくいのは理解できるが、最初から、例えば「1人あたりワンコイン500円の負担増ですが、これだけ子育て政策が充実します」と丁寧に説明していれば、わかりやすかったのではないか。
■2024年に求められることは
2023年は、こども政策の道しるべができ、具体策も定まった。今、国民が求めるのは実感できる具体的な成果だが、児童手当の拡充、保育園の4、5歳児の職員配置基準改善などの実現には巨額の財源が必要だ。2024年、こども家庭庁は通常国会で予算と関連法案の成立を目指すが、負担がどの程度になるのか明らかにした上で、さらに丁寧な説明を求めたい。