子育て政策どこが変わった? こどもまんなか元年を振り返る
■少子化対策の「加速化プラン」
少子化対策も、こども家庭庁の大きな仕事だ。まず、2023年3月に「少子化対策のたたき台」として実施すべき政策のメニューが打ち出され、最終的には12月に「こども未来戦略」として総額3兆6000億円もの内容が閣議決定された。特に2030年までを少子化傾向を反転できるラストチャンスとし、2024年度からの3年間の取り組みを少子化対策の「加速化プラン」として打ち出した。 主なメニューは以下の通り。 *児童手当拡充(2024年10月から所得制限の撤廃、高校生年代までの延長、第3子以降3万円) *高等教育費の負担軽減(2025年度から、扶養するこども3人以上の世帯の大学・専門学校などの授業料等の“無償化”【上限あり】) *幼児教育・保育の質の向上(2024年度から4、5歳児の職員配置基準を30対1から25対1へ改善) *多様な支援ニーズへの対応(ひとり親家庭や低所得子育て世帯のこどもに対する受験料等の支援、障害児に関する補装具費支給制度の所得制限を撤廃) *男性育休の取得推進(2025年度から両親とも育休を取得した場合の給付を手取り10割相当に引き上げ)
■2023年に届いた施策は?
2023年6月には自殺対策、7月には旧ジャニーズ事務所の性加害問題を受けた、こども・若者の性被害防止、12月にはいわゆる“学童保育”の待機児童解消に向けた対策がまとまった。これらの一部は既に実施されているが、多くは2024年以降に取り組まれる。 では2023年、実際に、こどもや子育て世帯に届いた政策はあったのか。子連れの人などが長時間並ばず優先して進める「こどもファスト・トラック」や、サッカー・Jリーグも応援宣言をした「こどもまんなか応援サポーター」事業。いずれも社会の機運醸成を狙ったものだが、SNSなどには「求めているのは、それじゃない」といったコメントが寄せられた。 また、こどもに関わる職業などに就く際、性犯罪歴などがないか証明を求める“日本版DBS”制度は、臨時国会への法案提出が見送られ、落胆の声も多く聞かれた。政府関係者は「半年や1年で成果が出るなら、どんどん省庁が立ち上がることになる。評価には、もう少し時間を」と理解を求めたが、2024年には、国民に実感できる成果を届けることが何より求められる。