【毎日書評】人間関係に疲れてしまう人の特徴は?「人の目を気にしすぎる」「認められたい」
他人の評価を気にするよりも大切なこと
なお、著者はここで重要な指摘をしています。 驚くことに、人は私たちが思うほど他人のことを気にしていない。みんな自分のことばかり考えているのだ。だから奇妙な光景を見たところで、3日も経てばきれいさっぱり忘れてしまう。要するに、たとえあなたが失敗しても、それをいつまでも覚えている人はいないのだ。(34ページより) それに加え、人は誰しもそれぞれ事情を抱えているものだということを忘れてはいけないと著者はいいます。 たとえば出勤後に挨拶をしたにもかかわらず、上司が返事をしてくれなかったとしたら、「自分になにか落ち度があったのでは?」と考えるかもしれません。しかし、もしかしたら上司は出勤前にパートナーと口げんかをして機嫌が悪くなっていたかもしれない。あるいは、上司からの呼び出しに気落ちしていたのかもしれない。 いずれにしても、返事を返してくれなかった原因がこちらにあるわけではないという可能性は非常に高いわけです。にもかかわらず、いちいち他人の評価におびえて顔色をうかがい、相手の反応に一喜一憂してしまうなら、一度静かに自分自身の心のなかを覗いてみるべきだといいます。 なぜなら人の目は、いつよそへ向いてもおかしくないものだからだ。人の目に必要以上の意味を持たせると、誰からも目を向けられなくなった瞬間、あなたは「人から愛されない」、「見捨てられた」存在になってしまう。たとえるなら、風船を握りしめているようなものなのだ。(35ページより) 誰かの歓呼や感嘆で風船が満たされていれば空高く飛ぶことができるけれど、人から目を向けられなくなると途端にしぼんで地面に落ちてしまうということ。 つまり人の目を過度に気にする人は、自分を愛してくれない相手への不満と、目を向けてもらえなくなるかもしれないという不安から、空虚感に苦しめられることになるわけです。しかし当然ながら、そういうスタンスは避けたいものです。(34ページより) 著者は42歳でパーキンソン病を患い、精神的にも追い詰められた経験があるそう。しかし結果的には、変えられない事実があることを受け入れ、変えられることだけに注力する人生こそがベストな道なのだと学んだのだといいます。 そんな自身の体験もひとつの軸となっている本書は、なんらかの理由で追い詰められている人にしっかりと寄り添ってくれることでしょう。 >>Kindle Unlimited3カ月無料キャンペーン【7/17まで】 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: CCCメディアハウス
印南敦史