「もしぼくの妹が戦争で亡くなってしまったら」日本の中学生が考えたこと
「プーチンの演説を見たよ。自国民をとんでもなく美化していて、ウクライナを攻撃しないと逆に攻撃されると言っている……」 【マンガ】「偽善者じゃない、成長してるだけ」BLiMの真意を伝えるマンガ こう語ってウクライナ人男性は、頭がおかしいとばかりに首を振った。これはドキュメンタリー映画『マウリポリの20日間』(4月26日より公開)の1シーンだ。クリミア半島併合のときにも取材をしていたスタッフたちが、ウクライナのマウリポリで撮影した20日間の記録である。 「民間人は攻撃しない」「民間人は標的外」とロシア側が言っているのとは逆に、民間人の家が燃やされ、泣きながら地下に籠もる市民の姿、病院に運ばれて心肺蘇生を受ける子ども……サッカーをしている中で攻撃を受けた少年は、足の切断をせざるを得ないという。そこにあるのは、2024年の今起きている「現実」だ。 ウクライナでロシアからの侵攻が始まったのは2022年2月24日のこと。それから2年以上経った今も終わっていない。「戦争反対」とSNSで告げたロシア人女性が4月16日に起訴され、4月25日からモスクワの地方裁判所で審議が始まると報じられている。 また、ガザを舞台としたパレスチナとハマスの抗争も、終わりは見えない。さらにそこにイランも加わり、イスラエルを中心とした攻撃が激化している。4月1日にイラン大使館をイスラエルが空爆、4月14日にはイランがイスラエルを攻撃し、19日にはさらにイスラエル側がイランにミサイルを打ち込んだと報じられている。 では、これからの未来を創っていく若者たちは、このような人と人が殺めあう現実をどのように見るのだろうか。 2012年から幼稚園から大学まで多くの子どもたちに向け、出前授業や講演活動をしている原ゆかりさんは、授業の反応から気づかされることが多いという。 その気づきについて伝える2回目の前編では、「多くの家に何個も蛇口があり、水道をひねれば水が出る」日本で「当たり前」と思ってきたことが別の視点ではまったく当たり前ではないことへの気づきがあったこと、イスラム教などへの「思い込み」に気づいたことなどを中学生の率直な声とともにお伝えした。 後編では「戦争」についての授業を受けての反応と原さんの気づきをお届けする。