尾上松緑主演、講談からの歌舞伎化「無筆の出世」が4月歌舞伎座で上演 人間国宝神田松鯉も出演
歌舞伎俳優尾上松緑(49)主演で、講談を基にした新作歌舞伎「無筆の出世」が4月の歌舞伎座で上演されることが発表された。 人間国宝の講談師神田松鯉(82)が速記本から起こした講談で、神田伯山もたびたび手がけている。ある奉公人が、酒癖の悪い主人から受けたあだを恩で返す作品。 また、松鯉も出演することが決まった。歌舞伎座の本興行に1カ月間、講談師が出演するのは初めて。 ▽尾上松緑コメント 私が講談の作品を歌舞伎に移植させて頂くのは「荒川十太夫」「俵星玄蕃」に続いて3作目でございます。3作目にして初めて「忠臣蔵」物から離れてのチャレンジです。 これまで講談からの移植では古典歌舞伎から転用しても違和感のないいろいろな挑戦をしてまいりましたが、今回もその気持ちを忘れずに「擬古典」として違和感のない作品に仕上げつつ、これまでになかった演出等も作者、演出家、共演者、スタッフの皆とアイデアを出し合っているところです。 「無筆の出世」は講談としてすでに名作でございます。その世界観を壊すことなく、また歌舞伎座の舞台で上演しておかしくない作品に作っていきたいと決意しております。 ▽神田松鯉コメント 小生の講談「無筆の出世」がこのたび歌舞伎化されることになった。思えば令和4年の「荒川十太夫」に続いて2度目の快挙であり、これほどうれしいことはない。四十数年前に古い速記本から起した愛着のある作品である。加えて今回は小生自身も講釈師として舞台に上げていただくこととなり、取り上げてくださった主演の尾上松緑丈を始め皆さまの期待とご厚意に背かぬよう懸命につとめさせていただきます。