樹齢300年を超える木を残したい…木と人の思いをつなぐ“樹木医”「お年寄りですから大切にしたい」
「治療すれば木も応えてくれます」
一方で、同じ場所に樹木を残したいという人もいる。福岡市内の住宅の敷地内にあるクロガネモチの木にも、ある問題があった。幹からのぞく黒い部分。その黒い部分を指差しながら「結構、腐ったりしていたんですよ」と森さんが打ち明けた。 このクロガネモチは、内側から虫に浸食され腐りかけていたため10年ほど前から定期的に診断を受けていたのだ。 さらに家の外側に回った森さん。以前はさらに背が高かったというクロガネモチの木。しかし、周辺に住んでいる人から「怖い」という声が寄せられ、少し小さくコンパクトになったという。 高さ15メートル以上のクロガネモチの木は、幹も太く大きくなり過ぎたため、塀の一部を取り壊して保存されていたのだ。 「もう私が生まれるかなり前から、この家に伝わるというか、守ってくれている木なので、ご神木的な存在ですね、我が家のお守り」と残したい理由を話す依頼主の女性。 クロガネモチの木はこの家で代々、受け継がれ、樹齢300年を超えているという。「小さいときに木の根っこに座ったりして、この木があることが普通のことだった」と物心ついた時からこの木と一緒に育ってきたと女性は懐かしそうだ。 “切り倒すことはできない”という思いをつなぐために、森さんは、黒くなっている部分の防腐処理に虫の防除、さらに根元部分は、樹脂を固めたのもので補強し倒木を防ぐといった治療を施した。 「何とか1年でも1秒でも長く、ここに鎮座してもらいたいですね」と、依頼主の女性は樹齢300年を超えるクロガネモチの木をいとおしそうに見上げていた。 樹木医の森陽一さんは最後に「ちゃんと治療してあげれば木も応えてくれて元気になります。もう200年、300年もたつ“お年寄り”ですから、大切にしたい」と話した。 (テレビ西日本)
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