東京都医師会・尾﨑会長、都のコロナワクチン定期接種「自己負担は2500円程度に」
東京都医師会は9月10日、都内で定例記者会見を行い、新型コロナウイルスの動向や今後の医療課題について解説した。 【写真】東京都で感染者数2400人超、過去最多ペース「梅毒」第2期の症状 尾﨑治夫会長は、8月26日~9月1日の定点医療機関当たりの患者報告数を例に「感染者数が比較的高止まりのまま冬の流行に移行する懸念がある。秋の新型コロナワクチンの定期接種は特に65歳以上の方、60歳以上で重症化しやすい基礎疾患のある方が対象になるので接種していただければ」と切り出した。 新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行し「以前のように無料ではないけれども、インフルエンザワクチン、新型コロナワクチン合わせて5000円以内で接種できるような形になってきている」と尾﨑会長。 接種費用のうち国から自治体に8300円が助成され「区市町村によって違いはあるが3500円程度の補助を考えている自治体が多く、そのうち1000円を東京都が補助することが決まったので、自己負担額は2500円程度で新型コロナワクチンを接種できるのではないか。インフルエンザも2500円程度ですから合わせて5000円以内で、従来考えていたよりは安価な料金でワクチン接種ができる」と説明した。 現在、流行している変異株は「ほとんどJN.1から派生した変異株でKP.3が主流になってきている。今度のワクチンはJN.1対応のワクチンなので、従来のワクチンより予防効果が高いと思う。前回のワクチン接種から半年~1年が経過している方ばかりなので、おそらくかなり抗体価が減少していると思う。ぜひ冬に備えて接種してほしい」と呼びかけた。 さらに当面の課題として「今、相当な物価高騰で医療機関もかなり苦労している。その対策として東京都が89億円の補正予算を組むことが決まり、一時的ではあると思うが救われることに感謝している」としたうえで「来年2025年には団塊の世代の方がすべて75歳以上の後期高齢者になる。その対策として地域包括ケアシステムの必要性をずっと訴えてきた。これから複数の疾患を抱え、なおかつ心身の衰えや認知症が発症し、外来に通院できる方が減少して自宅で在宅医療を受ける方がどんどん増えてくる」と提言。 「私どもはそういった方々を24時間見守る体制を作ろうとしている。訪問診療の先生だけが頑張れば救えるという問題ではなく、本当に必要になってくるのが地域の中小の民間病院。もちろん大学病院や都立病院も必要だが、そういった医療機関は三次救急で高度な医療を担っているので、なかなか複数の病気を抱えて介護が必要な高齢者を受け入れる対象にはならない。これまで以上に必要性が高まってくるにもかかわらず、その地域を支える病院が大変な経営危機に陥っている」と危機感を示した。