インフルエンザ予防接種、注射後「もんだ方が良く効く」は本当? 医師「もまない方がいい。むしろ内出血する」 接種後の注意点は
インフルエンザのワクチン接種が盛んに行われる時期になった。記者も先日、ワクチンを接種。同じタイミングで接種した人を見ると、少し痛そうな顔をしながらしきりに注射された部分をもんでいた。自分も無意識に腕をもんでいたのだが、接種直後に看護師から「軽く押さえていてください」と言われたことを思い出し、はっと手を止めた。子どもの頃、医師や看護師から「よくもんでください」と言われたことがあり、注射後は腕をもむものだと思っていたが、間違った情報だったのだろうか。「もんだ方が良く薬液が広がる」と言う友人もいる。もむのか、もまないのか、医師に聞いてみた。(中島瑞穂) 【写真】電子顕微鏡で見たインフルエンザウイルス
長野県医師会副会長の飯塚康彦医師によると、ワクチン接種後は「少し押さえるだけで、何もしないのが正しい」。注射をした部分をもむように伝える医師も以前は確かにいたそうだが、現在の基本はそっとしておくこと。飯塚医師は「もんでも、もまなくても、免疫の獲得に変わりはない。むしろ、針を刺した所の内出血を防ぐためには、もまない方がいい」と話した。 ただ、接種後の注意点はある。体力低下を引き起こすような激しい運動は控えた方がいいという。しかし、「入浴は問題ない」と意外な答え。記者の記憶では、医師や看護師にシャワーで済ませるなど「入浴は控えるように」と言われた記憶もあるのだが、飯塚医師は「風呂に入るのも控えてという医師も昔はいたが、入浴は問題ない」。
「腕はまもない」「入浴は問題ない」「激しい運動は控える」。これはインフルエンザ以外のワクチン接種でも共通だという。ただし、幼少期に接種する一部のワクチンには当てはまらない場合もあるので、「医師や看護師の指示に従ってください」と飯塚医師。
長野県内では今年、10月25日にインフルエンザ注意報、11月8日にはインフルエンザ警報が発令された。例年より早い流行のため、ワクチン接種をする前にインフルエンザにかかってしまった人もいるだろう。そうした人たちに対し、飯塚医師は「インフルエンザに一度かかっていても、ワクチンは接種した方がいい」と強調する。「ワクチンは四つの型のインフルエンザに対応している。一度かかっていても、他の型にかかる可能性があるので、重症化を防ぐためにもワクチンを打った方がいい」
飯塚医師は、インフルエンザのワクチン接種の目安は12月中旬までとする。「抗体の獲得までに2週間ほどかかるが、抗体が一度できれば半年ほど効果は続く。ワクチンは皆さんに行き渡る量を十分に作っているので、安心して接種を受けてほしい」と呼びかけている。