【旧財閥系デベロッパー戦争】三井vs住友vs三菱、それぞれの開発エリアの「境界」が消滅へ 金利のある世界で「薄氷のビジネス」に直面
「金利のある世界」はデベロッパーにとっても未知の領域
不動産バブルの崩壊を迎えた時、デベロッパーはどのような事態に直面するのか。牧野氏は言う。 「土地を仕入れて建物をつくり、分譲して収益を得るのがマンション開発で、マーケットや景気の動向には脆弱です。建築費の高騰で、都心の高級マンションを富裕層や投資家にターゲットを絞って供給してきたが、金利が上がれば投資家などの購入者がいなくなり、在庫を抱えることになってしまう」 高級物件の購入者が運用目的の海外投資家ばかりなら、投資マネーが引き上げられた時点で窮地に陥るという。 「円安が続き、中国資本以外に東南アジア資本が買いに来るとの仮説は立てられるとしても、国内の実需ベースで手が届かない価格帯でのマンション販売は薄氷の上でビジネスをするようなもの。土地代や建築費の高騰で、今さら都内で一般サラリーマンの手が届くようなタワマンはつくれません。マンション開発に特化しているわけではない財閥系デベロッパーであっても、事業の柱のひとつが曲がり角を迎える影響はあるでしょう」(同前) 実際に日銀が「利上げ」を進めればどうなるか。 「ある大手デベロッパーの役員は、『米国の不動産は半年の間に金利が4~5%も急激に上がったことで環境が激変した。資金を現地調達していると、テナントが入っていても赤字になってしまう。金利は怖いということを今さらながら実感している』と話していました。 長く金利がない世界で生きてきた日本のデベロッパーにとって、この先は経験したことのない世界になるのです」(同前) “金利のある世界”で、日本の不動産市場がどうなるのか──見えない危機が確実に迫っている。 ※週刊ポスト2024年6月28日・7月5日号
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