三菱商事キーマンが語る今後のローソンとの関係、KDDIとの共同経営&非上場化で「ローソンとの距離は近づく」
三菱商事が2000年、ダイエーからローソン株の一部を買い取りコンビニ経営に乗り出して24年。2017年にはローソンを子会社化し経営支援を続けてきた三菱商事だったが、2月6日、現在50.1%の出資比率を50%まで引き下げ、KDDIと折半出資の「共同経営」に移行すると発表した。 KDDIは4月以降、約5000億円を投じてローソンに対するTOB(株式公開買い付け)を実施し、9月をメドにローソンを非公開化する(詳細は3月6日配信:三菱商事が「ローソンを非上場化」する真の狙い)。 【写真】2019年の提携から、三菱商事とKDDIはローソンの価値向上策を議論してきた
新たな座組でローソンとの関係はどう変わるのか。4月にリテイル本部長に就任する三菱商事の鶴田紀章氏(現リテイル本部担当部長(CVS)兼コンシューマーマーケティング部長)に聞いた。 ■Pontaを活用してお客さんの体験を拡充 ――今回、KDDIとの共同経営に至った経緯を聞かせてください。 実は2000年にローソンに出資したときも、通信との連携を当時から社内で議論していた。ローソンはコンビニ事業に加え、エンタメや海外事業なども展開している。ローソンにはもっともっとポテンシャルがある。それを引き出すにはパートナーが必要だった。
KDDIが2019年にローソンへ2.1%を出資して以来、三菱商事とKDDIは足かけ5年ほどローソンの価値向上策を話しあってきた。その中で、KDDIに「ローソンにコミットしよう」と思ってもらえた。 ――ローソンにはNTTドコモも出資しています。なぜKDDIだったのでしょうか。 ローソンの最大の会員基盤は(三菱商事子会社が運営しKDDIも参画する)「Ponta」だ。これを活用してローソンのお客さんの体験を拡充していくことを考えたときに、KDDIがいちばん(パートナーとして)考えやすい。
Ponta会員が(KDDIの)auユーザーとひも付いている中で、KDDIのお客さんにさらにお得な体験を提供していければという話をしている。(日本の人口である)1億2000万人の消費者すべてにリーチすることを諦めたわけではないが、メリハリをつける。 Ponta会員などのロイヤルカスタマー(得意客)に対してデジタルで積極的にリーチして、お客さんとのコミュニケーションの中でカスタマイズされたサービスを提供していく。リモートブースを使った服薬指導などはその一例だ。