【漫画】掘るほど根が深い「バンギャルの世界」 バンギャル歴、約30年の作者によるエッセイに「知らない世界すぎて面白い」
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、イラストレーターとして活動する蟹めんまさんによる『バンギャルはいろいろバンドもいろいろな話』だ。 【漫画】ひとえに「バンギャル」と言っても様々…ビジュアル系バンドへの思いを語りまくる作者に「想像以上に深い話」の声 同作は、ビジュアル系バンドへの熱い思いが描かれたコミックエッセイ『今日もライブに行けません!~アラフォーバンギャル、魂のV系語り~』の第3話と第5話にあたる作品。また『comicタント』の編集部が運営するX(旧Twitter)に、『バンギャルはいろいろバンドもいろいろな話』が投稿されると、多くの人が注目して2.8万もの「いいね」が寄せられている。 そこで作者である蟹めんまさんに、同作を描いたきっかけや、こだわった部分について話を伺った。 ■意外と様々な事情がひしめく「バンギャルの世界」 『バンギャルはいろいろバンドもいろいろな話』は、バンギャル歴が約30年にもなる蟹めんまさんが、世の中で使われている言葉「バンギャル」について解説するところから始まる。 バンギャルはひと口に言っても、「ロリータちゃん」「バンドマンのコスプレさん」「ドレッシーなちゃんねー」など、いろいろなタイプが存在する。 共通点がなさそうな人たちでも、追っかけた時代が似ていれば、会話が弾むことも珍しくない。また年代が違った相手でも、ライブ会場の改名などの話題で、盛り上がることもあるそうだ。しかし、蟹めんまさんいわく、追っかけているバンドの「人気度」が違うだけで、お互いの世界線がガラッと変わってしまうとのこと。 そして、ここからバンギャルだった蟹めんまさんの中学生時代や、その時代を踏まえて至った境地などが描かれ、バンギャルとして生きてきた彼女の様子が明かされていく…。 蟹めんまさんのバンギャルとしての生き様に対し、「元バンギャだけど、懐かしい気持ちになった」「知らない世界すぎて逆に面白かった」「想像以上に深い話」といった反響が上がっていた。 ■作者・蟹めんまさん「ずっと勘違いされたままでいたいかもしれません」 ――そもそも『今日もライブに行けません!~アラフォーバンギャル、魂のV系語り~』を創作したきっかけや理由があればお教えください。 連載開始当初(2021年年末)は東京で一人暮らしをしており、コロナ禍のライブの様子やバンギャル(V系ファンのこと)の様子を描きたいと思っていました。単行本で言うと4話や5話みたいな感じです。 ところが2022年の頭に父が急死し、急遽相続や実家じまいをするために実家の奈良県に戻ることになり、ライブに行くお話がほとんど描けなかったんです。なので、単行本にまとめる際に「ライブに行きたくても行けていないバンギャルの話ということがわかるタイトルにしよう」と編集さんやデザイナーさんとお話しして、こうなりました。 予定していたことがひっくり返ったので、まぁまぁ辛かったんですが、これまで何年も自由にライブに行けていたことを描いてきたので、他の単行本との違いができてよかったです。 ――『バンギャルはいろいろバンドもいろいろな話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。 バンギャルという人種に馴染みがない読者さんもいるので、「V系バンドのファンはこんな感じで、こんなことに一喜一憂しているよ」的なことを描きたいと思っていました。ジャンルの歴史も長くなり、ひとえに「バンギャル」と言っても好きなバンドや年代によって活動の仕方も変わっています。違いすぎてびっくりするパターンと、変わらなさすぎてびっくりするパターン両方あるので、そこを面白がってもらえたらいいなと思いました。 ――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。 単行本で言うと、16ページの後輩のバンギャルを斡旋してくれている子の目がバキバキなところです。「いま、私はこの2人にすごくいいことをしてあげている!」と信じていてアドレナリンがドバドバ出ている様子です。 ――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。 単行本21ページの「このバンドはV系か否か」で超会議が勃発しているシーンです。飛び交っているセリフは、この10年間くらいのSNSで見かけて、絶対いつかネタにしたいと控えておいたお気に入りの発言をアレンジしたものなので、出せて嬉しいです。 ――私も音楽を嗜んでみる身として、恥ずかしながら「バンギャル」や「V系」の認識は曖昧なものでした。例えば周りに「バンギャル」や「V系」について勘違いしていること、もしくは「これだけはわかってほしい!」というものがあれば、ぜひ教えてください。 バンギャルは世間のイメージより怖くないし健康的だとは思います。ですが、怖いと勘違いされたり、「あのジャンルのファンは治安が悪い」と言われている時は、ジャンルが盛り上がっている時だというのが持論なので、ずっと勘違いされたままでいたいかもしれません。 ――今後の展望や目標をお教えください。 描いた漫画のドラマ化をしてほしいです。 ――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします! 今年から地元奈良のくらしをテーマにした『出戻りて、奈良。~中年娘のシカ県民やり直し日記~』という漫画をホーム社さんのWEBサイトで連載しています。V系のネタもちょいちょい出てきますので、バンギャルさんにもぜひ読んでもらえたら大変うれしいです。奈良に引っ込みましたが、まだ現役バンギャルなので、おすすめのバンドも教えてください。