パナソニックAS、自動車向けサイバーセキュリティソリューション強化--開発者不足解消にも
パナソニック オートモーティブシステムズは、自動車サイバーセキュリティ分野のソリューション「VERZEUSE(ベルセウス)」シリーズを拡充したと発表した。自動車の開発から車両出荷後まで、各フェーズに対応し、SDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア定義の自動車)の加速に貢献する。 パナソニック オートモーティブシステムズ 開発本部長の茨木晋氏は「サイバー攻撃対策は、自動車業界全体として取り組むべき課題。2020年には、サイバーセキュリティに関する国際基準が成立し、2026年5月以降は全ての自動車でセキュリティの対応が必須になる。パナソニックグループには、民生用AV機器などで培ってきた30年以上にわたるセキュリティ技術の蓄積があり、自動車のセキュリティ技術開発にも10年以上前から取り組んでいる。私たちが蓄積、開発してきたセキュリティ技術が、自動車業界に貢献できる良い機会だと考えている」と話した。 VERZEUSEシリーズは、自動車の開発から出荷までの各フェーズに対応し、各ソリューションを連携することでセキュリティ対策を効率化していることが特徴だ。 開発者はセキュリティに精通していなくても選択式の質問票に回答するだけで、車載機器の特性に応じた対策を取れるとのこと。「セキュリティの専門知識がなくてもセキュリティレベルを落とさずに、テストなどができる。自動車業界に限ったことではないが、セキュリティ関連のエンジニア不足は課題の1つ。その課題解決に結びつくのではと考えている」(パナソニック オートモーティブ 開発本部 プラットフォーム開発センター セキュリティ開発部長の中野稔久氏)と強調する。 パナソニック オートモーティブによると、ナビゲーションシステムなど大規模製品を対象とした場合、手作業で脅威分析するのに対し、作業工数を最大90%削減したという実績を持つ。 今回は技術発表とのことで、提供開始日などについては明らかにしなかったが、市場規模については「自動車に関するサイバーセキュリティ市場は2025年で4500億円という数字が出てくる」(中野氏)とし、今後さらに大きくなる市場であることを示唆した。 自動車会社や自動車部品メーカーなどをターゲットにしており、パッケージ販売以外にも単体での提供も視野に入れているという。