知り合いが「親が亡くなったのに預貯金を引き出せない」と言っていました。私の親も高齢なので心配です。生前からなにか対策できることはありますか?
親が亡くなった際には、葬儀代をはじめ何かと費用がかかります。できればそれらの費用について、親が残してくれたお金から工面したいと考える人もいるのではないでしょうか。 しかし、親の死亡後は金融機関の預金口座が凍結され、現金を引き出せなくなる可能性が高いです。必要な手続きが終われば口座の凍結は解除されますが、一時的に子たちで費用を立て替えるなどの対応が必要になるでしょう。 本記事では、金融機関の口座名義人が死亡した際に行われる預金口座の凍結について解説します。その他にも、親が生きているうちに行える預金口座の凍結への対策もまとめているので参考にしてみてください。
金融機関の口座名義人が死亡すると口座が凍結される
金融機関は、口座名義人が亡くなったのを確認した時点で預金口座の凍結を行い、入出金や振込、自動引き落としといった手続きができなくなります。ただし、役所に死亡届を提出しただけでは預金口座は凍結されません。なぜなら役所が死亡届の提出状況を金融機関と共有していないからです。 金融機関の担当者が、新聞の訃報欄などから口座名義人の死亡を知るケースもありますが、確実性の高い情報を取得しないことには預金口座の凍結には至らないでしょう。 そのため、実際に口座名義人が死亡してから、預金口座が凍結されるまでにかかる時間は一律ではありません。親族などが金融機関へ口座名義人が死亡したことを申告し、その場で預金口座が凍結するのが一般的です。 ◆相続手続きが終われば凍結を解除できる 預金口座を凍結されたら、半永久的に現金の引き出しや解約ができないわけではありません。遺産分割が完了し、口座名義人の財産を誰がどのように相続するかが確定すれば凍結を解除できます。 なお、預金口座凍結を解除する際には、遺言書や遺産分割協議書、口座名義人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)、法定相続人を確認できる戸籍謄本といった書類の提出が必要です。 ◆口座凍結前に口座から現金を引き出してはいけない 口座名義人が死亡した後に、遺族が預金口座から現金を引き出しても罪に問われることはありません。しかし、死亡した口座名義人の預金は相続財産となり、相続人全員で共有する必要があります。共有財産である預金を引き出す際には、相続人全員の許可を得なければならないのです。 そのような状況で、相続人のうちの誰かが共有財産を勝手に引き出せば、他の相続人から不当利得返還請求を受けたり、損害賠償請求を起こされたりするリスクが高まります。