知り合いが「親が亡くなったのに預貯金を引き出せない」と言っていました。私の親も高齢なので心配です。生前からなにか対策できることはありますか?
遺産分割前の相続預金の払戻し制度で一定額を引き出せる
遺産分割前の相続預金の払戻し制度によって、相続預金のうち一定額の引き出しが可能です。引き出せる金額の上限は、「相続開始時の預貯金残高×相続人の法定相続分×3分の1」で、金融機関ごと(同一金融機関の複数店舗に相続預金がある場合は全店舗)に150万円までと定められています。 手続きは、単独の相続人が金融機関の窓口で行います。手続きを行う相続人の本人確認書類や印鑑証明書、戸籍謄本または全部事項証明書(法定相続人全員を確認できるもの)、死亡した口座名義人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書などを提出することで、預金を引き出せます。 ◆相続財産から葬儀費用の控除が可能 相続税の課税額を計算する際には、相続財産から葬式費用を控除できます。控除できるのは、以下のような費用です。 ・火葬や埋葬、納骨費用(仮葬式と本葬式を行った場合は両方にかかった費用) ・遺体や遺骨の回送費用 ・葬式の前後に発生した通常の葬式に欠かせない費用(お通夜など) ・葬式でお寺などに支払った読経料などのお礼にかかった費用 ・死体の捜索、死体または遺骨の運搬費用
口座凍結を避けるために行える対策
口座名義人である親が死亡した際に、預金口座凍結を避けるために行える生前の対策は以下のとおりです。 ・預金の一部を事前に引き出しておく ・任意後見制度 預金全額ではないにしても、必要最低限の金額を引き出して自宅に保管しておくのも方法の一つです。盗難に注意しなければなりませんが、どこで管理しているのかを子らと共有しておきましょう。 その他に、任意後見制度を利用することも検討してみてください。認知症や障害などに備えて、親が一人で決められるうちに任意後見人を選び、任意後見監督人の監督下で特定の法律行為を本人に代わって行える制度です。
親の死亡時を想定して預金情報を事前に共有しておこう
親が亡くなった場合に、葬儀やお墓にかかる費用は高額になる傾向です。しかし、金融機関の預金口座は、口座名義人の死亡を確認した後に預金口座の凍結を行います。凍結が解除されるまでは、さまざまな費用を子で立て替えなければならないケースも出てくるかもしれません。 そこで、親がまだ元気なうちに預金口座から現金を引き出しておくなど、預金口座の凍結に対処できるような方法を検討しておくとよいでしょう。 出典 一般社団法人全国銀行協会 遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内 国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用 厚生労働省 成年後見はやわかり 任意後見制度とは(手続の流れ、費用) 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部