ビットコイン半減期:ニュースで売るか、アルトコインにローテーションか
「IBITはETF史上、最も急成長しているETFだ」と、ブラックロック(BlackRock)のラリー・フィンク(Larry Fink)CEOは先日、Fox Businessのインタビューで自社のビットコインETFについて高らかに語った。 1月の米証券取引委員会(SEC)によるビットコイン現物ETFの承認とその後のパフォーマンスは、ビットコイン(BTC)と暗号資産(仮想通貨)市場全体を新たな高みへと押し上げた。 まず、ビットコインは7万ドルを突破し、史上最高値を更新した。アメリカを拠点とするCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のビットコイン先物取引は、バイナンス(Binance)を含む他のすべての取引所の建玉を上回り、最大のビットコインデリバティブ取引所となった。そしてついに、先物ベーシスは年率25%超に達し、アメリカのリスクフリーレート、すなわち米国債利回りのの5倍近くに達した。 次はどこに向かうのだろうか? ビットコインには、トレーダーや投資家が価格上昇を大いに期待しているもう1つの大きなマイルストーンがある。半減期だ。4月20日頃に予定されている半減期によって、ビットコインのブロック発行レートは、1ブロックあたり6.25BTCから3.125BTCに低下する。 サンプル数は少ないが、ビットコインが半減した過去の年には、1月から12月のパフォーマンスは平均約200%。これが参考になるとすれば、ビットコインの年末の価格は約9万1500ドルに達することになる。 とはいえ、デリバティブ取引の観点からは、半減期の予測可能性と確実性は、SECの現物ETF承認決定とその後のETF普及の不確実性とは異なる。
ビットコインとイーサリアムの比較
つまり、トレーダーは完全に既知のイベントによって驚かされる可能性は低い。このことから、ビットコインのデリバティブ取引をイーサリアムと対比することで、半減期後のローテーションの潜在的なチャンスに関するストーリーが見えてくる。 4月26日満期と6月28日満期のオプションを比較すると、ビットコインとイーサリアムに織り込まれているダイナミクスがはっきりと見て取れる。 まず、4月26日のビットコインオプションのコール(買う権利)は、イーサリアム(ETH)のコールに対してかなりのプレミアムがついており、イーサリアムのプット(売る権利)はビットコインのプットに対してプレミアムがついている。 6月28日のオプションの状況はほぼ同じで、ビットコインとイーサリアムの間の緊密な関係が長期的には規則的なことを示している。 つまり、現在の半減期は短期的にはビットコインオプションに織り込まれていると同時に、SECから「証券」に指定される可能性があり、5月に現物ETFが承認されない可能性が高いことから、イーサリアムをめぐる楽観的な見方ができないことが、トレーダーにイーサリアムのプットを買わせる原因となっている。 他に指摘したいのは、CME主導のビットコインとイーサリアムのポジショニングの違いだ。 ビットコインデリバティブのポジションを見ると、CME先物(緑)は、現物ETF承認の可能性が盛り上がり始めた10月頃から本格化したことがわかる。現在、CMEのビットコイン建玉はバイナンスをはじめとする、他の取引所を上回っている。 一方、イーサリアムのCME建玉は、ほとんど増加しておらず、バイナンスが大差で上回り続けている。このことは、米市場がまだイーサリアムのポジションを構築していないことを物語っている。 そして、イーサリアムの現物ETFに向けた動きが、5月であろうと(最初の承認却下の後)ずっと後であろうと、買い手はまだイーサリアムに群がっていない。