お母さんのことを「母上」と呼び、「ハンサム」といわれることが大嫌い 戸田奈津子がみたキアヌ・リーブスの素顔
長場雄が描く戸田奈津子が愛した映画人 vol.44 キアヌ・リーヴス
字幕翻訳の第一人者・戸田奈津子さんは、学生時代から熱心に劇場通いをしてきた生粋の映画好き。彼女が愛してきたスターや監督の見るべき1本を、長場雄さんの作品付きで紹介する。
スターとして扱われることが苦痛
仕事柄、イケメン俳優は大勢見てきましたが、『ハートブルー』(1991)で初来日したキアヌ・リーヴスほど「なんて美しい!」と目が点になった俳優はありません。もちろん当時、日本の映画ファンの心も、たちまち鷲掴みにしてしまいました。 個人的にサーフィンは見るのも好きなので、若き美青年、キアヌの魅力を満喫できる『ハートブルー』は大好きです。 多くの俳優と同じく、彼も「ハンサム」と言われることが大嫌いでね。あれだけ長い間トップで活躍しているのに、スターとして扱われることが、まだ苦痛みたい。その証拠に、プライベートでは髪も伸ばしっぱなし。頬にうずが巻くくらい無精髭を生やして、美貌を隠そうと努力している。 取材で何度かお会いしていますが、インタビューもそんなに上手ではなく、会見でも必要なこと以外答えない。あんなに引っ込み思案で大丈夫かと心配しまうくらい(笑)。 そういえば、一度お母さまを連れて来日したときに、「Mother」と呼んでいて驚いたことを覚えています。アメリカ人は「Mom」など省略するのが普通で、「Mother」と呼ぶ人は聞いたことがありません。 日本語なら「母上」のような感じです。それだけ躾がよく、お母さんを大切にしているのでしょうね。
『ハートブルー』(1991) Point Break 上映時間:2時間2分/アメリカ ロサンゼルスのベニスビーチで銀行強盗が続発。新人エリート捜査官ジョニー・ユタ(キアヌ・リーヴス)は、ボーディ(パトリック・スウェイジ)率いるサーファーグループに潜入捜査を開始する……。キャスリン・ビグロー監督がメガホンを取り、当時の夫だったジェームズ・キャメロンが製作総指揮を務めた。 キアヌ・リーヴス 1964年9月2日、レバノン・ベイルート生まれ、カナダ・トロント出身。カナダの舞台やTVに出演後、『リバース・エッジ』(1986)『ビルとテッドの大冒険』(1989)『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)『ハートブルー』(1991)などに出演。『スピード』(1994)で一躍世界的スターに。主な出演作は『雲の中で散歩』(1995)『マトリックス』シリーズ(1999、2003、2021)、『コンスタンティン』(2005)『ジョン・ウィック』シリーズ(2014、2017、2019、2023)など。 『ジョン・ウィック』の続編ドラマシリーズが現在製作中。キアヌという名はハワイ語で「山を越えてくる涼しい風」の意。 語り/戸田奈津子 アートワーク/長場雄 文/松山梢
集英社オンライン
【関連記事】
- 〈高級マンションで宅配業者イジメ?〉「配送バッグが建物の景観を損う」「警察に通報します」と貼り紙…その真意は? 管理会社を直撃、住人からは「厳しさのおかげでキレイが保たれる」同業者からも意外な声
- 〈高級マンションで宅配業者イジメ?〉「配送バッグが建物の景観を損う」「警察に通報します」と貼り紙…その真意は? 管理会社を直撃、住人からは「厳しさのおかげでキレイが保たれる」同業者からも意外な声
- 〈結局、誰に投票すればいい?〉過去最高の候補者56人が乱立する都知事選「候補者が多いことにメリットはない?」「売名目的が多すぎる」
- 介護は“オイシイ商売”なのか?「老人は歩くダイヤモンド」高齢者を囲い込み利益を上げる経営者がいる一方で、真面目な事業者が“損をする”介護ビジネスの現実とは…
- 戸田奈津子「ヒュー・ジャックマンにはがっかりしたことも…」ハリウッドデビュー後にブロードウェイでもスターになった稀有な俳優の素顔とは