リタイア後の生活に必要な〝きょうよう〟〝きょういく〟用事や行くところを作る「3つの軸」 認知症の予防にも大切
【年金世代・予備軍「シニアの居場所」】 「〝きょうよう〟と〝きょういく〟」という言葉を聞いたことがありますか? これは、「今日も用事があること」と、「今日も行くところがあること」の略語です。リタイア後の生活に必要なこと、と言われており、認知症の予防にも大切とされています。 まだ会社勤めをしている人は「用事や行くところがないなんてことはないだろう」と笑うかもしれません。しかし会社から離れ、毎日が休日となると、「用事がない」「行くところがない」という年金世代の人が多いのが現実です。 そうならないためには、自分自身で日々の用事や行くところをつくることが必要ですが、それはまさに「居場所づくり」につながることでしょう。世間の年金世代は、どうしているのでしょうか? 国立研究開発法人建築研究所が2020年に発表した「空き家の改修による高齢者の居場所づくりの手引き」の中に、「高齢者の居場所とは」という章があります。高齢者の居場所の実態について調査し、まとめたものです。これをヒントにしたいと思います。 同書では高齢者の行き先を①生活必需行動(日常の買い物など)のついでに寄る場所②生活必需行動以外で行く場所③用がなくてもふらりと行きたくなる場所、に分類しています。 ①で多いのは「本屋や雑貨店など食料品・日用品以外の買い物」「コーヒーショップなど喫茶軽食店」「親族、知人などの家」「公園、緑地、遊歩道など自然が感じられる場所」で、回答は5割を超えています。 ②で多いのは「親族、知人などの家」で、これは5割を超えています。ついで「映画館、演劇鑑賞、美術館など文化施設」「地域の図書館、文化・教養活動施設など」と続きます。親族や友人・知人という「人の存在」はやはり居場所になるようです。 ③は「大規模商業施設等の中でウインドーショッピング」「街なかを散歩」「公園や緑地、河川敷や海辺などを散歩」が5割を超えています。その他の回答の中でも、大規模商業施設のフードコートやカフェ・喫茶店などを選ぶ人が多かったようです。 これらをまとめると、「友人や親族など人の存在はそれだけで居場所」「散歩は万能」ということになります。