「ジャニーによる性被害は全容解明された」 当事者の会元代表・平本氏が明かす「525人の補償交渉」の舞台裏
■NHKスペシャルは「なんだあれ?」って感じ 今年の大みそかに放送される「第75回NHK紅白歌合戦」には、旧ジャニーズ事務所からマネジメント業務を引き継いだ「STARTO ENTERTAINMENT」の所属のアーティストは出場しないと報じられた。そうなれば、昨年に続き、2年連続で旧ジャニーズ勢の出演がゼロとなる。 この背景には、10月20日に放送されたNHKスペシャル「ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像」が放送された影響もあったとも言われるが、平本氏はどう見ているのか。 「NHKの会長が10月16日の定例記者会見で『本日をもってSTARTO所属のタレントへの出演依頼を可能とする』と発言し、その4日後にNスペで検証番組を放送したことから考えても、NHKはSTARTOのタレントを出したくて仕方がないんでしょう。Nスペは、被害者目線からすれば『なんだあれ?』って感じ。僕の周囲で、よくやってくれたという声はない。番組の最後でSMILE-UP.の補償本部長を悪者にし、解任させただけ。ジャニーズは社名変更して分社化したが、結局、何も変わってないということを揶揄することくらいできなかったのかなと思います」 そして、「紅白」について、こう続ける。 「STARTO側としては『紅白』に中途半端に1~2組しか出られないのなら、出演オファーがあったとしても、断る方が賢明に見える。補償業務はまだ終わっていないわけだから、断った方が自粛感が出るという判断もあったのではないでしょうか。また、旧ジャニーズを辞めた滝沢秀明代表の芸能事務所『TO BE』所属の『Number_i』が出場することに決まったこともあり、共演して比べられるのを嫌ったという面もあったかもしれません。いずれにせよ、STARTO社は来年に一時復帰する『嵐』が頼みの綱になると思います」 平本氏は来年1月に新たな著書の出版を予定しており、それとは別に「全容解明」をサブタイトルに入れた本を執筆中だという。 「この問題を提起し続け、唯一、個人として深く関わってきた僕が、後世に記録を残さなければいけないと思うんです」 テレビ出演がいくら解禁されようとも、旧ジャニーズ事務所が背負うべき“被害者の痛み”が消えてなくなったわけではない。 (AERA dot.編集部・上田耕司)
上田耕司