セカンドキャリアをどう築く？ 57歳で大手ビール会社を早期退職、夢の国で清掃スタッフになった第2の人生
人生100年時代、もう60歳定年退職は当たり前ではありません。体力もスキルもあってまだまだ活躍できるとあれば、新たな次のキャリアをあなたならどう描くでしょうか。 転職や早期退職、独立などさまざまなキャリアの選択肢が増えてきた今、長く企業で働いてきた後にこれまでと異なる道を歩み出す人が多くいます。この連載では、一つのキャリアをしっかりと築いた後、また新たな道を踏み出す人たちの“セカンドキャリア”とその背景を追います。
ビール会社総合職→パーク清掃スタッフ
1st Careerキリンビール総合職 >>> 2nd Career ディズニーランド清掃スタッフ
笠原一郎さん 1953年山口県生まれ。一橋大学卒業後、キリンビール入社。マーケティング部、福井支店長などを経て、57歳で早期退職。2010年東京ディズニーランドに準社員（アルバイト）として入社、東京ディズニーランドのキャストとしてセカンドキャリアを築き、2018年3月、65歳で定年退職。著書に夢の国での体験をリアルにつづった『ディズニーキャストざわざわ日記』（三五館シンシャ・2022年発行）がある。
定年まで3年を残し、キリンビールを早期退職するーー。笠原一郎さんがそう決めたのは、40代後半。折り合いのつかない上司との軋轢に心が折れかけ、出世コースの歩みにずれを感じていた頃でした。 ただ、その時は、セカンドキャリアへの具体的なイメージは特になかったといいます。 しかしその後、東京ディズニーランドでカストーディアルキャスト（清掃スタッフ）として定年退職を迎えるまで働くことに……。 オイルショック、バブル崩壊、リーマン・ショックも生き抜いたサラリーマンが最後に選んだ職場である「夢の国」を経て、今、改めて伝えたい“セカンドキャリアの築き方”を追いました。
親も喜ぶ「安定の大企業」へ就職
日本経済が第1次オイルショックからの回復期にあった1976年。一橋大学を卒業する笠原さんが就職先に選んだのは、酒類メーカー大手のキリンビールでした。 「銀行とか保険会社ではなく、“形あるモノ”を扱いたくてメーカー中心に就職活動をしました。経営していた会社の倒産を経験した両親を安心させたかったので、大企業であることにもこだわりました。食品業界を選んだのは、日常生活になじみがあるものだから。それに、ビールを囲む時って笑顔になるじゃないですか。それがいいと思ったんです」
