高校生の息子が「卒業したら就職したい」と言いますが、大卒のほうが高収入なので“進学”して欲しいです。高卒と大卒ではどのくらい「生涯賃金」に差があるのでしょうか?
一般的に、高校卒よりも大学卒の給料のほうが高いとされています。では、年収や生涯賃金に換算すると、どれくらいの差があるのでしょうか。 本記事では大学卒と高校卒の初任給・平均年収・生涯賃金の差と、大学卒でしか取得できない資格や働けない仕事を紹介します。高校卒でも大学卒より高い年収を得られる可能性のある職業の例もあわせて解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
高校卒と大学卒の初任給の差は約5万円、平均年収の違いは約8万7500円
厚生労働省の「令和5年度賃金構造基本統計調査」によれば、高校卒と大学卒の初任給の違いは以下のとおりです。 ●高校卒:18万6800円 ●大学卒:23万7300円 学校を卒業して働き始めた時点の賃金の差は、平均で月約5万円です。では新卒以外も含む全世代の平均賃金になると、違いはいくらになるのでしょうか? 高校卒と大学卒の平均賃金の違いは以下のとおりです。 ●高校卒:28万1900円(年収換算:338万2800円) ●大学卒:36万9400円(年収換算:443万2800円) 全ての年代の平均を見てみると、賃金格差は約8万7500円に広がります。つまり、長く働くほど、大学卒と高校卒では生涯賃金に差が開くことになります。
高校卒と大学卒の生涯賃金の差は約5000万円
初任給や平均年収に大きな違いがある高校卒と大学卒。高校卒は大学卒よりも4年早く働けるアドバンテージがありますが、生涯賃金で差が開くものでしょうか? 厚生労働省所管の独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023」によれば、生涯賃金の違いは以下のとおりです(定年まで・退職金を含まない)。 ●高校卒男性:2億300万円 ●高校卒女性:1億4920万円 ●大学卒男性:2億4740万円 ●大学卒女性:1億9800万円 男性でも女性でも大学卒の生涯賃金のほうが約5000万円も高いことが分かります。
大学卒は高校卒では受験できない仕事や資格を保有できる魅力もある
大学卒は高校卒よりも生涯賃金が約5000万円も高いというメリットがあるのは紹介した通りですが、高校卒と大学卒では取得できる資格や働ける仕事も異なります。 例えば、医師を目指す場合、医科大学や大学医学部で6年間にわたり医学を学び、医師国家試験に合格することが必要です。薬剤師も同様で、大学の薬学部で6年間の履修を終え、薬剤師国家試験に合格しなければいけません。 ほかにも、応募資格に大学卒を挙げている企業があります。生涯年収の高さだけでなく、学歴によって資格取得や職業選択が制限されないのは、大学卒ならではのメリットでしょう。