スタメンはオール1年生の富士見は敗れるも、実績ある指導者の下での今後に期待!【24年秋・埼玉地区予選】
<秋季埼玉県大会西部地区トーナメント 代表決定戦:埼玉平成 12―6 富士見>◇2024年9月9日◇所沢航空公園球場 【動画】批判も糧に挑戦続ける33歳の青年監督。今春からは異例のチャレンジへ... 富士見の野球部員は、この夏3年生は0人で2年生が1人。あとはすべて1年生の16人という布陣で戦った。 そのメンバーがそのまま残っているということで、秋の富士見の存在は、各校にとって不気味に感じているところも少なくないようだ。中学時代にそれなりに実績のある選手も何人か集まってきているという評判でもある。この試合も、先発メンバー全員が1年生だった。 対する埼玉平成は、全員2年生で挑んだ。学校は入間郡毛呂山町にあり、中学も併設している私立校だ。専用球場も有しており、11年前の第95回埼玉大会ではベスト8に進出している実績もある。この秋の新チームは、夏のバッテリー、内野手・外野手も2人ずつが残っており、選手個々の経験値も高い。 先発はともに夏から1番を背負っていた、富士見・佐藤大和投手(1年)、埼玉平成・木下裕史投手(2年)だったが、埼玉平成は先頭の原田結翔選手(2年)が散々粘って中前打。これで佐藤投手はリズムを狂わされた。バントで二進した後、3番菅野隼弐選手(2年)が右翼へ2ランを放って先制。さらに、続く梅木幹太(2年)選手も三塁打して四球で一、三塁となった後に併殺崩れでもう1点追加する。 これで、試合は埼玉平成が主導権を握っていく。2回にも菅野選手の2点タイムリーで追加点。さらに3回には武藤優斗選手(2年)の三塁打と木下投手の左前打とバッテリーで追加点を奪った。その後、木下投手は三塁へ下がったが、試合展開としてはコールドゲームもありえる状況だった。富士見は6回を終わって4安打で1点のみだった。 ところが7回、富士見は4番猪股優冴選手(1年)の内野安打から、相手失策も絡んで7人連続出塁となった。埼玉平成の髙橋浩一監督は三塁から木下投手をマウンドに戻したものの、抑えきれずこの回で5点が入って1点差に。試合そのものもわからなくなってきた。 しかし8回、埼玉平成は二死二塁から2番齋藤悠護選手(2年)の左前打で1点を挙げ、さらに3番菅野選手がこの日2本目の2ランを同じように右翼へ運んだ。菅野選手はこの日6打点と大活躍となった。これで、さすがに試合の行方もほぼ決着となった。埼玉平成は9回にも3四死球と失策絡みで2点を追加した。 富士見は一時は逆転か、というところまで追い上げたが、7回に1点差としてなおも一死一、三塁で上位打線となったところで、三塁走者が牽制で刺されたのは痛かった。まさに、タッチプレーで試合の流れはせき止められた形になった。 埼玉平成は3回で木下投手をマウンドから下げたが、三塁に残しておいたことが7回になって功を奏した。髙橋監督は「小心者なのでね(苦笑)、思い切って下げられなかったんですけれども、結果としては、木下が残っていたことで助かった」と振り返っていた。 富士見は南稜、狭山清陵で指揮を執り、県内上位に勝ち進むほどの実績を残した遠山巧監督が休養となっている。かつては富士見やふじみ野、城西大城西などで指揮をしていた外部指導者・山﨑警監督代行の指揮で戦った。「ここまでが限界かな…。投手は病み上がりで3日間は練習ができていなかったので、そんな状況でよく戦えたと言ってもいいかな」と語った。それでもやはり、「自分のチームではないというところもあって、どこかに限界があるのかもしれない」ということも素直に認めていた。 しかし、2年生は1人、ほかはオール1年生16人の富士見。あと2年、このままのメンバーで戦っていくとなると、大きくチーム力は上がっていくのではないだろうか。