新天地で防御率0・47!! 巨人・泉圭輔を復活をさせたメンタルの変化「困ったらど真ん中」の〝アベの考え〟がピタリ
【球界ここだけの話】環境が変われば、人も変われる。突如訪れた転機が、眠りかけていた才能を呼び起こさせた。今季ソフトバンクからトレードで加入した巨人・泉圭輔投手(27)が新天地で輝きを取り戻している。 【写真】マウンド上で泉の肩をたたく阿部慎之助監督 「移籍してきて、変に考えてモジモジやるくらいならと思って、いい意味で気持ち的に割り切れている。移籍が一番大きいと思います」 再起を期して臨んだ今季。開幕こそ2軍でスタートしたが、4月7日に1軍昇格すると、同12日の広島戦(東京ドーム)で今季初登板し、いきなり移籍後初勝利をマーク。5月には15試合連続無失点投球を記録するなど、ここまで21試合に登板し、1勝0敗、防御率0・47と安定感抜群の投球を披露している。 メンタル面の変化が、活躍の源となっている。ソフトバンク時代の2020年には、自己最多の40試合に登板し、リーグ優勝に貢献。だが、昨季は細かい制球などに苦しみ、1軍はわずか3試合。シーズンの大半を2軍で過ごした。 「去年は、野球をやっていても楽しくなかった」 投球で考えることは、四球を避けることばかり。最速156キロの直球で押し込む、本来の自分の投球スタイルを見失っていた。課題は明確だった。酸いも甘いも味わったソフトバンク時代から、首脳陣に言われ続けてきたのはメンタル面の改善。潜在能力の高さを生かせず、くすぶっていた右腕を、移籍を機に復活させたのが阿部監督が掲げる信念だった。 青年監督が、昨季465四死球(リーグワースト2位)を与えた投手陣に就任直後から伝えたのは「『困ったらど真ん中』。最後はど真ん中に投げ込む度胸があるかないか」と大胆さの重要性だ。打たれることを恐れ、コースばかりを狙って力強さが欠けることをなくすのが狙いだった。 捕手出身の指揮官から「一旦、割り切って真ん中高めに自分の一番強い球が投げれるように」と言葉をかけてもらった。〝アベの考え〟は、泉のスタイルにピタリとはまった。「今は、考えすぎずに『ストライクをどんどん投げていけばいい』という感覚になっている。ど真ん中に投げてもファウルになったら、より自分の投げるボールに自信が持てる。少しずつ自信を積み上げている感じ」。本格派右腕らしさが戻ってきていると実感を込める。シーズンも75試合を消化し、中継ぎ陣を支える巨人の泉の躍進はまだまだこれからだ。(樋口航)