東京駅のホームに停車する東海道新幹線

10月1日に開業から60年を迎える東海道新幹線はスピードや快適さ、安全性を追求する中で姿を変えていった。 【グラフィックでみる】東海道新幹線の車両の変遷 開業当時、団子鼻の愛称のあった0系は、丸い鼻先で知られる。航空機に似た流線形で、最高時速210キロで東京－新大阪を4時間でつないだ。これをベースに昭和60年の100系は2階建てグリーン車や個室を導入。外観は鋭角になった。 形状が大きく変わったのは、平成4年デビューの「のぞみ」で投入された300系。それまで鉄製だった車体はアルミニウム合金に切り替えられ、100系よりも約25％の軽量化に成功。最高時速は270キロまで高められた。この時点で東京－新大阪は2時間半に短縮。背景には航空機との競争があり、インパクトの大きい速度向上となった。 11年には0系が引退し、700系が登場。世代交代を印象付けた。先頭車両は空気抵抗や騒音などを減らすため、鼻先が長いのが特徴で、外観から「カモノハシ」の愛称もあった。 路線に曲線が多いことが、東海道新幹線の路線の積年の課題。19年のN700系からは、カーブでの遠心力を緩め乗り心地を良くするため、車体を傾けて走る技術が投入された。27年には最高時速が285キロとなり、現在東京－新大阪は2時間21分まで縮まっている。 スピードだけでなく、在来線と完全に切り離された踏切のない軌道、自動的に列車に速度信号を送りブレーキをかける「ATC」が開業時から導入されているのも大きな特長で、これまで乗車中の旅客が死傷した列車事故は起きていない。安全性を保つ仕組みを含めて、海外展開も進められている。（織田淳嗣）