福田師王、高卒即ドイツ挑戦の現在地。「相手に触られないポジションで頭を使って攻略できたら」
神村学園高校のエースストライカーとして全国高校サッカー選手権で得点王のタイトルを獲得。昨年、高校卒業後すぐにドイツに渡り、ボルシアMGのU-19、U-23でプレー。今年に入ってトップチームに昇格し、ブンデスリーガデビューも経験した福田師王。欧州の地で順調にステップアップを続ける福田をチーム関係者はどのように評価し、本人はどのような手応えと課題を抱いて激動の日々を過ごしているのか。 (文=中野吉之伴、写真=アフロ)
「スタメン起用もあるかも」と地元紙に噂されるほどの存在
「(起用されるのは)近いんじゃないですか。そろそろ師王に助けてもらいたいなというのはあります」 ボルシアMGがフライブルクとのホームゲームを0-3で落とした後のミックスゾーンで日本代表DF板倉滉が、福田師王についてこう話していた。3月の代表週間に行われたベルギーリーグKASオイペンとのテストマッチで84分間プレーした福田は、2得点をマークするなど小さくはないポジティブな印象を残している。 ジェラルド・セオアネ監督は「シオはトレーニングで見せてくれているプレーを試合でも示してくれた。ペナルティエリア内でいい目を持っているし、いいコースで走り込める。機敏で、素早く、ダイナミックな動きができる」と賛辞を残し、フライブルク戦でも「スタメン起用もあるかも」と地元紙に噂されるほどの存在になっているのだ。 結果として負傷離脱していた主力FWのアラサン・プレアとトーマシュ・チュワンチャーラがメンバー復帰したことも影響し、福田は残念ながらメンバー外に。だが直近の公式戦5試合連続未勝利という苦しいチーム事情からも、板倉が言うように福田が必要とされる時がそろそろ訪れそうな気配は確かにする。
「どんなパスや状況からでもゴールを決めることができる」
リーグ優勝5回、カップ優勝3回を誇るドイツの古豪ボルシアMGが福田をセカンドチームに当たるU-23に獲得したのが2023年1月のこと。育成部長ミルコ・ザンドメラーは「技術的にしっかりしていて、動きに優れ、そして大きなポテンシャルを持つ成長力のあるFWだ」と期待のコメントを残している。最初の半年間はU-19ブンデスリーガでプレー。その後すぐU-23へと戦いの場を移すと、4部リーグが主戦場に。 高校サッカーからドイツへ。福田自身、ご多分に漏れず「最初は簡単ではなかった」とクラブインタビューで心境を明かしたことがある。 「フィジカル的な強さやプレースピードが日本とは大きく違っていました。でも時間とともにヨーロッパのサッカーやより高いレベルに自分のスタイルを順応させることができてきていると思います。あと、どんなパスや状況からでもゴールを決めることができるということを学びました」 自分の形やリズム、タイミングでボールを持ったら好プレーができると口にする選手は多い。でも、プロとはそれができて当たり前の世界だ。どのようにより自分の間合いでプレーできる機会を増やすのか、そして自分の流れではない時でも効果的なプレーでチームの勝利に貢献できるかどうか。そこに大きな意味がある。少しずつ福田はその感触を身につけているようだ。